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ポーランド侵攻 7

ベルリン 総統官邸


「かくかくしかじかというわけで、我が野戦軍はポーランド軍前線を突破。ワルシャワも昨日攻略いたしました。一部都市・部隊は抵抗を続けているものの、ポーランドは全面後退を開始しており、追撃戦に局面は移行しつつあります。」


ベック参謀総長はそう言葉を締めくくった。

切れ者のライヒ軍人らしく冷静に的確に報告をしているが、2週間とかからず敵国の国土の半分近くを制圧し首都の目前にまで迫る大戦果に興奮が口調に滲みでていた。


「流石はライヒ国防軍だ!これほどまでの進撃速度、これほどまでの戦果は有史以来だろう!諸君らは軍事史に消えることのない金字塔をうちたてたな!」


(おおむね史実通り・・・なのかな?)


俺からしたら『まぁ、予定通りですね。はい』という感覚もあるが、俺以外のライヒ上層部は違う。


ポーランド軍に対しては有利に戦闘を進めることを予期していてこれくらいの進撃ペースも作戦としては存在していたとしても、実際にやってみないと分からないというのは戦争も同じこと。


そして褒められるのが嫌な人間などいない。


叱責するときは烈火のごとくちょび髭節が炸裂するわけだが、反対に褒めるときも怒涛のごとくちょび髭節を浴びせるのだ。


この極端な飴と鞭がちょび髭流人心掌握術の真骨頂ともいえる。


なのでとりあえず俺は『俺以外の人間からしたら予想以上の戦果』をあげたライヒ国防軍を激賞した。


(だが、一方で問題はここからだ)


「それでベック参謀総長。撤退するポーランド軍は何処で再集結を図っているのだね?」


俺は懸案事項に切り込む。


「はい閣下。彼らはルーマニア回廊まで撤退し、前線幅を縮小することで前線の厚みをすことで我が軍をくい止めようとしております」


俺の問いにベック参謀総長は流水のごとく答える。


このポーランド軍の動きは予想されていたことであるし、ルフトバッフェの偵察でも既に確認済だ。


(うーん、そうなんだよな。ここからが史実とちがうんだよな)


史実ではこの時期にはソ連が侵攻してきていた。


かの悪名高いモロトフ=リッペントロップ協定の成果だ。


前世でプレイした某ゲームではこの協定の締結こそ正に事実上の第二次大戦開戦のゴングであった。


ソ連が侵攻してきたことにより『前線幅の圧縮』というポーランド軍の意図は破綻。


むしろ前線は開戦当初より伸びる結果にすらなり、ポーランド政府に国土放棄を決断させる決定的なひと押しになった。


(あまり戦闘を長引かせたくはないが・・・)


今のところ英仏の陸軍は大人しい。


威力偵察じみた局地的な攻勢を一度仕掛けてきたものの、自らまた国境線の向こうに撤退していった。


少なくとも現時点において英仏はライヒ本土に侵攻するつもりは全くなさそうだ。


だがあまりポーランド攻略に時間をかけているとその辺りも変わってきかねない。


かといってあまり性急にポーランド軍を攻撃してもライヒ国防軍の被害が増加し、今後の作戦に支障がでることとなってしまうだろう。


「ノイラート大臣。ルーマニアとの交渉はどうだ?南側からポーランドに圧力をかけれそうか?」


「いえ、閣下。現状彼らは中立を主張するばかりです。中立であるならばルーマニア側から物資が流れるような事が無いよう圧力をかけておりますが、そちらもどこまで守らせることができるか疑問です」


話を振られたノイラート大臣はそう淡々と告げる。


外務大臣を辞してこそいないが、今のライヒの外交状況はノイラート大臣の望むところでないことは明白でありその辺りの複雑な思いが淡々とした口調に現れているようだった。


「ふむ、外交的圧力が作用しないとなると、他の手段でポーランド政府の継戦の意思をくじく必要があるな。ゲーリング、例の作戦計画はどうだ?実行できそうか?」


「問題ありません!ルフトバッフェがポーランドにトドメをさしましょう!」


「ッツ・・・!」


自身満々に言い切るゲーリングに声にこそ出さないもののベック参謀総長が猛烈に何か言いたげな顔をする。


「では、作戦を実行したまえ。あと参謀総長。そんな顔をするな。国防軍がポーランドにトドメをさすだけの力があることは私も理解している。だが、敵はポーランドだけではない。本格侵攻をするにせよしないにせよ、英仏に備え出来るだけ兵力を温存せねばならんだろう」


ルフトバッフェの作戦が無事成功すれば美味しいところだけ持っていかれかねない国防軍としては、あまり面白くない方に事態が動いていると感じてしまうのは致し方ないことだろう。


「承知しております。では国防軍は敵が強固に守る拠点・都市は放置し、敵軍の追撃に注力いたします。」


相変わらず面白くなさそうな顔をしているものの、戦略的合理性は十分に理解している参謀総長は素直に引き下がるのだった。

うーん、丁寧すぎるかな・・・

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― 新着の感想 ―
作者さんが楽しく書いて更新してくれるのが一番です。 今のペースでも自分は楽しんでます。
どうですかね 地上戦力はどんだけ温存しても温存し過ぎってことはないでしょう
今の展開、今の描写でとても面白く読んでいますので、このまま作者さんのペースで書いていけば良いと思いますよ。 アルデンヌの森突破とか、ダンケルク完全包囲とかを早く読みたい気持ちもありますけど。
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