反撃
それに対し、タイアルに駐在する陸軍の一部も、暗黙に支持を寄せたのが、大きかった。採掘場では日に幾度となく衝突が起こり、都市のあちこちで暴徒が蜂起した。
「おぬし。この事態をいかがする?」とリュカは皇帝の書斎に呼ばれて、詰問されていた。
「なんとしてでも、ミグーの非を民衆に説きます。」
「うむ、頼んだぞ。」
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リュカは北国の人々の不満を分析した。
「彼らが求めているのは金じゃない。つつしまやかな生活まで奪われた、という感情だ」
そこで、リュカは金採掘にあたってのルール作りにとりかかった。まず、採掘権制度を設けた。これは、土地の所有者に採掘を放任するのではなく、許可制や届出制にしたのである。また、共同採掘組合を設けた。これは、金鉱の所有者に互助組合をつくらせて、相互監視と相互扶助により、ノウハウの蓄積と環境破壊の抑止を図った。さらに、環境保護規制も忘れなかった。環境破壊こそが今回の騒擾の直接の要因だからだ。操業には、煙害や水質汚染への気を配らせると共に、これらを垂れ流しにする業者には重税を課すこととした。さらに、タイアルの民への利益還元も勿論忘れなかった。操業業者からの徴税の一部を、タイアルの予算に組み込むことの宣言をしたのである。
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「いやーしかし、あのリュカ殿を追い詰めるとはミグー殿は素晴らしい。」
デッシュは、北国に赴いてミグーと密談している。
「リュカ殿は、これまでも様々な実績がありますからな。海底農場計画をスタートさせ、クラレットジャグを借用し、クリルタイではお気に入りを北国のハーンに就けた。おまけに、所領持ちという。」
「ここらでリュカを葬り去らないと、我らに未来はありません。民はすでに火種を抱えている。あとは方向を与えるだけです。」とミグー。
「わかっておる。であるから、わしがここにいるのだ。」「火は、自然には広がらぬ。」とデッシュは笑う。「だが、風を与えればどうなる?」
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しかし、リュカは民衆に対する弾圧策を採らなかった。正面衝突を避けて、世論戦で民衆のミグーへの印象悪化を狙った。具体的には、カトゥル帝国(中央の)議員時代のミグーの発言録を出版した。ここには、他国に対する強硬発言や、帝国内の他民族に対する侮蔑表現に溢れていた。




