↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/5

第四話:神界盾《セイクリッド・アイギス》

 門を飛び出した私は、街道を走りながら右手を前へ伸ばした。


「叡智魔眼(オムニ・スコープ)!」


 魔力が周囲へ広がる。草むらに潜む小動物。街を囲む石壁の上を走り回る兵士たち。

 いくつもの気配が頭に浮かんだが、範囲の端は街道の途中で途切れていた。


「駄目。届かない!」

「馬を飛ばして十分ほど先だと言っていました! 先ほどの探知魔法では――」

「範囲を広げる!」


 私は走る速度を落とし、魔力をさらに集めた。先ほど使った術名だけでは、これ以上遠くまで届かない。

 詠唱を加えれば範囲を広げられる。そのためには、離れた場所まで見通す力に相応しい言葉が必要だった。


「また今考えるのですか!?」

「集中させて!」


 千里を見通す目。あらゆる存在を捉え、隠れた者すら逃さない天上の視線。


「天上に座す星々よ、その輝きを我が瞳へ宿し、遥かなる地に蠢く万象を映し出せ――」


 私の前に、青白い光の輪が広がった。


「千里天眼《アストラル・オムニ・サイト》!」


 放たれた魔力が、街道に沿って一気に駆け抜けた。魔力に触れたものの形と位置が、頭の中へ浮かび上がる。


「……いた」


 街道上に二十近い反応が集まっている。

 そのうち、動いている者は十数人。地面へ倒れたまま動かない者が三人いる。少し離れた場所には倒れた馬が二頭と、馬車らしき大きな影。


「どのくらい先ですか?」

「かなり遠い。相当無理させたっていうのは本当みたい」

「でしたら、まず門兵から馬を――」

「私乗れないし、間に合わない」


 私は探知した気配へ意識を集中させた。細かな状況まではわからない。ただ、動いている者の一人が倒れ、その周囲を複数の反応が取り囲んだ。

 門まで逃げてきた子供は、腹部に深い傷を負っていた。

 母親たちの馬車が襲撃現場を離れてから、そこそこ時間が経っている。残された者たちが無傷で待っていると考えるほうが不自然だ。


「さっきの子、あと少し遅かったら危なかった」


 私は立ち止まった。


「向こうにいる人たちにも、そんな余裕はないと思う」

「ですが、ここから走っても――」

「普通には走らない」


 私は自分の体へ意識を向けた。筋肉を強化し、骨と腱の耐久力を上げる。心肺機能を高め、全身を巡る血流と魔力を加速させる。

 使い方はわかる。これなら馬車よりずっと速く走れる。問題は、リゼットだった。


「リゼットも身体強化って使える?」

「初歩的なものなら。ただし、長時間走り続けられるほどの効果はありません」

「じゃあ決まり。そこに座って」

「え?」


 リゼットは混乱しながらも素直に座る。素直すぎてちょっと不安になるけど、今はいいや。私はリゼットの横へ回り込んだ。

 片腕を背中へ、もう片方を膝の裏へ入れる。


 人一人を抱えて全速力で走る。

 単純な筋力だけを上げれば、地面を蹴った瞬間に足を痛める。速度に体が耐えられなければ、自分もリゼットも無事では済まない。

 全身を一つの術で強化し、さらにリゼットにも保護と風除けを広げる。


「我が身に宿れ、天を駆ける雷神の力――雷迅剛身(ヴァジュラ・ドライブ)! 風王障壁《エアリアル・スクリーン》!」


 詠唱が終わるとリゼットを勢いよく抱き上げた。いわゆる横抱きだった。


「な、何をしているのですか!?」

「抱き抱えて持っていく!」

「そういう意味ではありません! 下ろしてください!」

「走って私についてこられる?」

「それは……」


 リゼットが言葉に詰まった。


「時間がない。ちょっと我慢して」

「ですが、この姿勢は!」

「お姫様みたいでかっこいいよ」

「私はそのようなことを気にしているのではありません!」


 リゼットは真っ赤になって抗議したが、私はすでに集中していた。

 体が軽い。リゼット一人を抱えているはずなのに、何も持っていないどころか、背中に翼でも生えたようだった。


「リゼット。しっかり掴まって」

「お待ちください。どの程度の速度を想定して――」


 私は地面を蹴った。


「きゃああああっ!?」


 景色が後方へ吹き飛んだ。

 一歩ごとに数メートルを駆け抜ける。土が弾け、風が制服を激しく叩く。


「速っ!」

「なぜ術者であるマナが驚いているのですか!」

「使うの初めてだから!」

「先に言ってください!」

「言ったら乗ってくれなかったでしょ!」

「当然です!」


 リゼットは私の首へ両腕を回し、必死にしがみついた。

 私は街道を走りながら、頭の中に残る反応を追う。目標までの距離が、猛烈な勢いで縮んでいった。


「速い! これならすぐ着く!」

「前を見てください! 前!」


 街道の中央に、大きな窪みがあった。私はそれを飛び越える。

 普段なら助走をつけても届かない距離を軽々と跳び、着地した勢いのまま走り続けた。


「今、何メートル跳びました!?」

「わかんない!」

「速度を落としてください! 足を滑らせれば二人とも大怪我をします!」

「だめ! 間に合わない」

「なら、もう少し安定して抱えてください。落ちそうです!」

「こう?」


 私は腕に力を込め、リゼットを胸元へ引き寄せた。


「近いです!」

「落ちるよりいいでしょ!」

「限度というものがあります!」

「じゃあ、リゼットが私の首をしっかり掴んで!」

「この速度で走っている方の首を絞めるわけにはいきません!」


 騒がしい会話とは裏腹に、街道沿いの景色は猛烈な速さで後ろへ消えていく。

 地面を踏む場所を選び、障害物を避け、曲がり道では外側へ膨らまないよう重心を傾ける。

 怖いほど速い。それなのに、不思議と体は思った通りに動いた。


「見えた!」


 街道の先に、横倒しにされた大木があった。

 その向こうに一台の馬車が止まっている。車輪が壊れ、荷台の覆いが切り裂かれていた。

 剣を持った男たちが、その周囲を取り囲んでいる。私は速度を落とさず、探知魔法へ意識を戻した。


「十一人立ってる。倒れてる人が五人! 一人だけ、少し離れた斜面の上で倒れてる。それと、馬車の陰に二人隠れてる!」

「十一人のうち、護衛が何人かわかりますか?」

「わからない。でも、馬車のそばに三人固まってる。残りが囲んでる!」

「囲んでいる方が襲撃者でしょう。まず人質を結界で保護してください! 広範囲の攻撃魔法は禁止です!」

「うん!」


 さらに近づく。金属同士がぶつかる音と、男たちの怒鳴り声が聞こえた。

 馬車の前では、血を流した護衛たちが剣を構えていた。

 その後ろ、馬車の陰に、中年の男と十歳ほどの少女が身を寄せ合っている。

 護衛たちを囲んでいるのは、統一感のない革鎧をまとった者たちだった。


「剣を捨てろ!」


 髭面の男が叫ぶ。


「荷と女を置いていけば、命だけは助けてやる!」

「貴様らの言葉など信じられるか……!」


 先頭に立つ護衛の足元には、すでに血溜まりができていた。

 剣を握る腕も震えている。髭面の男が苛立ったように顎を動かすと、別の男が背後から回り込んだ。

 少女へ向けて、剣を振り上げる。


「マナ!」

「見えてる!」


 私はリゼットを抱えたまま、街道脇の斜面を蹴った。私たちの体が高く宙へ舞う。

 盗賊たちが一斉に空を見上げた。


「な――」


 私は右手を少女へ向ける。


「神界盾《セイクリッド・アイギス》!」


 透明な盾が現れた。

 振り下ろされた剣が盾に激突し、甲高い音を立てて弾かれる。


「ぐあっ!?」


 盗賊が手首を押さえて後ずさった。その直後、私は街道の中央へ着地した。

 身体強化された脚が衝撃を受け止め、地面へ蜘蛛の巣状の亀裂が走る。砂埃が舞い上がり、近くにいた男たちが慌てて距離を取った。


「……到着!」

「もう少し穏やかに着地できなかったのですか!?」


 私は腕の中のリゼットを地面へ下ろした。

 リゼットはふらつきながらも杖を構え、すぐに周囲を確認する。


「人質二名、生存! 護衛と思われる方が三名倒れています!」

「生きてる?」

「遠目ではわかりません!」

「私が治す!」

「その前に、この者たちを無力化します!」


 私たちの会話を聞いていた髭面の男が、怒鳴り声を上げた。


「何者だ、てめえら!」


 私は男たちを見回した。

 八人。全員が剣や斧を持っている。少女へ剣を振り下ろした男も、すでに武器を拾い直そうとしていた。


「武器を捨てて、ここから離れて。そうすれば、追いかけない」


 一瞬の沈黙のあと、男たちが笑い出した。


「聞いたか? お嬢ちゃんが俺たちを見逃してくださるそうだ!」

「妙な術を一つ使えるからって、調子に乗るなよ!」


 髭面の男が剣を私へ向ける。


「二人とも生け捕りにしろ! 金になりそうだ!」


 男たちが包囲を狭める。

 リゼットが杖を構えたまま、私の隣へ並んだ。


「交渉は失敗ですね」

「うん」

「拘束魔法は使えますか?」

「使える。でも、まだ名前を考えてない」

「今からですか!?」

「今から!」


 私は両手を前へ出した。まずは神界盾《セイクリッド・アイギス》の範囲を広げないと……

 覆うような結界……絶対に破れないようにちょっと豪華にしておこう。

「天壌(てんじょう)を分かつ光の壁よ、遍(あまね)く厄災を退ける白亜の城塞へと成れ! 祈りは地を覆い、慈愛は天を塞ぐ、聖なる翼にて包み護れ――神界盾《セイクリッド・アイギス》!」


 少女の前に出してあった盾が私たちの頭上に移動し、そこから光の歪みが広がり、馬車と倒れた護衛たちごと包み込む半球を描いた。

 突進してきていた盗賊たちも激突し、顔を押さえている。


「なんだこりゃ!?」


 盗賊たちが剣で切り付けたりしているが、無駄だった。

 結界は一切傷付かず全てを拒んでいる。


 諦めて逃げる前に捕まえないと……

 人を殺さず、八人を同時に捕らえる魔法。鎖。牢獄。光の檻。周囲から迫る刃を見つめながら、私は必死に名前を考え始めた。私の頭に、必要な魔法の形が浮かぶ。


「マナ急いでください!」

「急かされるとかっこいいのが思いつかない!」

「命が懸かっている場面で、何の心配をしているのですか!?」


 かっこよさが足りなければ発動しないのだから、仕方がない。八人を同時に縛るなら、それらしい詠唱も必要になる。

 私は覚悟を決めた。


「逃げ惑う愚者どもを縫い留めよ、虚空に牢獄を成せ! 光の戒律にて、束縛せよ――」


 盗賊たちの足元に、金色の魔法陣が次々と現れる。

 大男が異変に気づき、斧を振り上げた。


「天鎖牢獄《グレイプニル・プリズン》!」


 地面から、光を放つ無数の鎖が飛び出した。


「なっ――」


 大男の両腕へ鎖が巻きつき、振り上げた斧ごと背後へ引く。別の鎖が足首を絡め取り、その巨体を地面へ転がした。


 周囲でも、男たちの悲鳴が上がる。


「何だ、これは!」

「外れねえ!」

「切れ! 鎖を切れ!」


 剣を振り下ろしても、金色の鎖には傷一つつかなかった。

 逃げようとすれば新たな鎖が伸び、腕や足だけでなく胴まで締め上げる。武器を手放して抵抗をやめた者だけ、呼吸を妨げない程度に拘束が緩んだ。

 やがて、光の鎖は一つに収束し、男たちをまとめて閉じ込める巨大な檻となった。

 ほんの数十秒で、街道にいた八人と、倒れていた盗賊一人が光の牢に閉じ込められた。


「ふう……」


 終わった。そう思った瞬間、倒れている護衛たちの姿が目に入った。

 早く治さないと。私は神界盾《セイクリッド・アイギス》を解除し、駆け寄ろうとした。


「マナ! まだいます!」


 リゼットが叫んだ。街道を見下ろす斜面の上。

 木の陰に、弓を構えた男が立っていた。そうだ、地面へ伏せて動かなかった者はもう一人いた。

 弓の弦が鳴る。黒い矢が、私へ飛んできた。


「危ない!」


 リゼットが私を突き飛ばした。矢が肉を貫く音がした。


「――っ!」


 リゼットの体が傾く。左肩の下、胸当ての隙間に矢が突き刺さっていた。


「リゼット!」


 私は倒れかけた体を抱き止めた。リゼットの顔が苦痛に歪む。

 傷口から流れる血が、白い外套を赤く染めていく。


「大丈夫、です……」

「今、治す!」

「先に……敵を……」


 斜面の男は、すでに二本目の矢をつがえていた。


「やめて!」


 私は右手を向けた。

 怒りと恐怖のまま、頭に浮かんだ最も短い術名を叫ぶ。


「天雷槍(ヴォルト・ランス)!」


 青白い雷が、私の手から放たれた。

 光の槍は飛来する矢を空中で砕き、そのまま斜面に立つ男の胸を直撃した。

 雷鳴が街道を揺らす。男の体が弾き飛ばされ、木の幹へぶつかった。

 弓が手から落ちる。男はその場へ崩れ落ち、それきり動かなかった。


「リゼット!」


 私はすぐに膝をつき、リゼットの体を地面へ横たえた。


「矢を抜くよ!」

「待って……返しが……」

「抜いてから全部治す!」


 矢を掴み、一気に引き抜く。

 リゼットが苦痛に息を詰まらせた。傷口から血が溢れ出す。


「彼方に満ちる聖なる光よ! 巡りし命の輪を手繰り寄せ、傷つきし者へ今一度、完全なる息吹を与えよ!」


 私は震える手を傷口へ押し当てた。


「天命回帰《セレスティアル・リバース》!」


 金色の光が、リゼットの体を包み込む。


「リゼット」

「……聞こえています」

「大丈夫? 苦しくない?」


 リゼットはゆっくり息を吸い、吐いた。


「痛みはありません」

「よかった……」


 安堵した瞬間、私の全身から力が抜けた。リゼットへ覆い被さるようにして、額をその胸元へ押しつける。


「ちょ、ちょっと、マナ」

「少しだけ。このままでいさせて」


 生きている。胸に耳を当てると、鼓動が聞こえた。

 それを確かめていなければ、立っていられなかった。


「私を庇ったりするから……」

「咄嗟に体が動きました」

「私なら結界で防げたかもしれないのに」

「間に合った保証はありません。それに、助けに来た方へ矢が飛んできたら、庇うのは当然です」

「当然じゃないよ」

「マナも、同じことをしたでしょう」


 私は何も言い返せなかった。しばらくして顔を上げる。

 視界の端に、斜面の木が見えた。その根元で、男が倒れている。

 私はゆっくりと立ち上がった。


「どこへ?」

「確認しないと」


 近づきたくなかった。

 それでも、曖昧なまま逃げることはできなかった。

 斜面を登り、倒れた男のそばへしゃがむ。

 私は首筋へ指を当てる。……かすかに、脈があった。

 詠唱をしていなかった。名前だけの、一番短い魔法だった。

 もし、あのとき何か一言でも付け足していたら。

 背後から足音が近づいてくる。リゼットは隣へ立つと、私の背中へそっと手を添えた。


「……マナ」

「生きてる」


 声が震えた。


「詠唱を足してたら、たぶん殺してた」


 リゼットは何も言わず、背中に置いた手に少しだけ力を込めた。

 私は深く息を吸い、男の胸へ手をかざした。


「この人も治す」

「敵まで治すのですか」

「死なせたくない」


 それだけは、はっきり言えた。

 リゼットは少しだけ目を伏せ、それから頷いた。


「わかりました。ただ、厳しいことを言うようですが、今はこの方の優先順位は高くありません。命を繋ぐ程度の治療にとどめて、拘束したら護衛の方々のところへ戻りましょう」

「……うん」


 男の傷を最低限だけ塞ぎ、先ほどの魔法で檻に一人追加する。それから、私たちは馬車の方へ歩き出した。


「私の力……強すぎるみたい」


 ぽつりとこぼれた言葉に、隣を歩くリゼットがこちらを見た。


「傷つけたくないのに、必要以上に傷つけちゃう。でも、リゼットや、他の人たちは護りたい」

「では、その加減は一緒に考えましょう」

「リゼットも?」

「あなた一人へ全てを背負わせるつもりはありません。私は慎重ですから」

「自分で言う?」

「少なくとも、走りながら作戦を聞く方よりは慎重です」


 少しだけ、頬が緩んだ。


 光の檻の中の盗賊たちは、わけがわからないといった様子で、怯えた顔をして私たちを見つめていた。

 少し離れた場所では、助けられた父親が娘を抱き締めている。


「ありがとうございます……」


 男は傷ついた体を引きずりながら、私たちへ頭を下げた。


「あなた方が来てくださらなければ、私も娘も殺されていました」

「もう大丈夫です」


 私は親子のもとへ向かった。


「傷を見せてください。倒れている人たちも、まだ助けられるか確認します」

「しかし、あなたも顔色が……」

「私は平気」


 本当は平気ではない。それでも今は、治せる命を先に救いたかった。

 倒れていた護衛三人のうち、二人にはまだ息があった。

 私は二人へ治癒魔法を使い、立っていた護衛たちと父親の傷も治した。残る一人は、私たちが到着する前にすでに亡くなっていた。

 治癒魔法でも、死者を蘇らせることはできなかった。

 やがて街道の向こうから、馬の蹄と車輪の音が聞こえてきた。

 門兵と冒険者たちを乗せた二台の馬車が、こちらへ向かってくる。


「救援隊です」


 リゼットが安堵の息を吐いた。


「これで盗賊たちの引き渡しと、負傷者の搬送ができます」

「よかった」

「街へ戻りましょう。今度こそ、正式に街へ入る手続きを行わなくては」

「そういえば私、まだ街に入れてなかった」


 異世界へ来て、フォレストウルフを倒し、瀕死の子供を治し、盗賊団を捕らえた。

 それなのに身分上は、いまだ街に入れない審査中の不審者である。


「帰りも私が運ぼうか?」

「お断りします」


 リゼットは即答した。


「でも歩くより速いよ」

「絶対に嫌です」

「今度はもっと優しく走るから」

「最初からそうしてください!」


 救援隊が到着するまでの間、私は何度もリゼットを説得した。

 結局、「私たちは馬車の護衛です。先に帰るわけにはいきません」とリゼットに諭されて、私が折れた。

 馬車は怪我人と荷物でいっぱいで、私たちは歩いて帰ることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。