番外編『夏のクーラー』
暑いね。もう夏だ。
去年はなんやかんや、湖に泳ぎに行ったりしたけど……。
今年は猛暑なのか、王都は連日高温が続いている。
夏バテの人も多くて、ドリンク剤として、低級ポーションが連日飛ぶように売れている。
嬉しい悲鳴だけど、それだけみんな体調が崩れやすいということだから、感情は複雑だ。
「じゃじゃーん、そこで、前開発して不良在庫になってる、クーラー」
「クーラーですか?」
「そそ、部屋を丸ごと冷やしてくれるの」
「へー」
荷物置き場から引っ張りだし、魔石をセットしてスイッチオン。
「おおあお、涼しい〜」
「先生、これいいですね!」
「でしょ、二人とも今年の夏はこれで乗り切ろう」
「やった!」
四角い装置から冷気がソヨソヨと出てくる。
氷魔法の応用技術らしいけど、ご先祖様に感謝しなくちゃ。
こうして快適な生活ができる。
「こんにちは〜。あら、涼しい!?」
「いらっしゃいませ。クーラー付けたんですよ」
「へぇ、こういう魔導具もあるんですね?」
「はい!!」
「でもお高いんでしょ?」
「ギクッ、実はかなり高価で、えへへ、売れなかったんですよねぇ」
「あらあら、あはは」
常連のお姉さんたちも集まってきて、店内でみんなで涼んだ。
ポムも気持ちがいいのか、クーラー前の一等地でポムポム揺れていた。
「あーポムちゃん、触るとひんやり」
「ほんとだ、きーもーちー」
「きゅっきゅっ」
みんなペタペタ、ポムを触ると嬉しそうにまた跳ねた。
扉一枚向こう側は、道に蜃気楼が見え、セミがミンミンゼミ鳴いて、日差しが照りつける。
外は地獄、中は天国。
「ふぅ、外は暑いね……」
マリーちゃんが外作業から戻ってきて、表情を緩める。
シャロちゃんも、快適な室内にニッコリしていた。
「ミレーユさん、これが文明の利器なんですねぇ」
「先生がたまに変なの作ってると思えば、役立つこともあるんですね!」
「むむ、失礼な、ついも役立ってるもん」
「あはは」
「もう、ミレーユさん、ははは」
冷蔵庫で冷やした冷茶のハーブティーをみんなで飲む。
フルーティーな香りにほのかな草の味わいがする。
「ふう、生き返りますね!」
「マリーちゃん、やっぱりアイスティーだよね」
「そうですねぇ、ふふう」
こうして、なんとか夏を乗り切るのだ。




