月曜☆ちゃぶ台劇場
月曜☆ちゃぶ台劇場
飲む買う打つは、芸の肥やしとよく言うが、俺は博打などしないし女遊びも控えている。
博打に関しては熱くなれない、というのが本音。どうにもアレは性に合わない。
ならば女遊びはというと、緋影と生活をともにしてからこっち、まったくの御無沙汰である。最近ではこちらの方も、熱くなれずにいた。
となると酒だ。
そうは言っても、元来がイケる口ではない。
チビリといただき酒肴をつまみ、またチビリといただいては酒肴をつまむ、という程度。
なにしろ酒は味を覚えるのに年季が要る。
昨日今日飲みはじめた若造では、とてもじゃないが太刀打ちはできない。
とはいえ、緋影が学校に行っている間は、ときどきおでん屋の暖簾をくぐったりする。
昼酒だ。
これがまた、いいのだ。
「また昼間からお酒ですか、お兄さん」
「まあね、男には事情があるからさ」
「どんな事情だかねぇ」
女将は笑う。
「いつものように糸こんにゃくにガンモにはんぺんかい?」
「あぁ、それと………」
「安酒に燗づけでしょ?」
そう、それだ。
すでに味がよく染みたおでんが、サッと出てくる。
が。
糸こんにゃくしか乗ってない。
しかも器用なことに、糸こんにゃくで文字が書かれていた。
おしごとです
油断をしていた。
そのつもりは無かったのだが、油断をしていた。
とりあえず、席を立つ。
男には事情があるのだ。
男には、理由があるのだ。
居間に入ると使い鬼と忍者たちが、今日もちゃぶ台に集まっていた。
俺もその輪の中にまざる。
管楽器が鳴る。
地鳴りがした。
SFチックなエンジン音が響く。
背後を振り向くと、いつの間に建てられたか天宮緋影像が振動し、ガワがバラバラと剥がれ落ちていた。
中から現れたのは、もちろん緋影。
そしていつの間に造られたか、空港のミニチュアが陥没、いや突き破るようにして出雲鏡花が現れる。
二人は何事もなかったようにちゃぶ台に着いた。
「お待たせしました、宇宙戦艦ヤ〇トな登場の天宮緋影です!」
「わたくしはわが青春の〇ルカディアを真似てみましたの、出雲鏡花ですわ」
ヘイ、二人とも。
耳の穴ぁカッポジって、よく聴きやがれ。
零士先生ネタは、以前やっただろ。
この期におよんでネタの再発たぁ、ちゃぶ台劇場の名折れだぜ。
「このようなツカミで、すでにお察しの方もいらっしゃるでしょうが」
「本日のお題はぁ………こちらですわ、ちゃらん♪」
「はい、ゲームです!」
ちょっと待てーいっ!
なんで?
どうして?
どういった理由でヤ〇トと〇ルカディア号から、ゲームの話になるってよ!
おかしかねーか?
おかしーべ?
根拠をはっきり明示しろや!
「緋影さま? ちゃぶ台劇場は昭和を掘り起こして、ノスタルジーにひらるのが目的なのでは?」
「鏡花さん? 第一回ちゃぶ台劇場を御覧なさい。昭和を掘り起こすなど、一言も書いていませんよ?」
「あぁっ! しまったですわ!」
俺の疑問はほったらかしに、どこまでも大根芝居なのな、お前ら。
まあ、それはいいからとっとと戦艦とゲームの関係、説明しろや。
「さてさて、ネットに関しては可愛らしいマンドリル程度の知識しか持ち合わせのない作者ですが!」
「ゲームくらいはしてやがるのですわ!」
お前ら、ネット知識がマンドリル程度って………。
つーか一般的にマンドリルは可愛らしいと表現しないだろ。
緋影、お前の感性を他人に押しつけるな。
つーか作者、ゲームできたのか?
クリアごとに女の子が服を脱いだり、過激な展開へ突入する条件が課金とか、「金ならあるぞ! いくらだっ!」などというものじゃないだろうな?
「そのゲームというのが、お艦を操作して大砲を撃ったり魚雷を撃ったり、撃たれたり」
「なかなかイカツいゲームらしいですわね」
嘘だろ作者。
お前いつからそんな真人間になったんだよ?
「そんな理由から、ヤ〇トの復活シーンで登場してみました♪」
「私は〇ルカディア号ですわ」
ようやく俺と読者の疑問に答えてくれたか。
一応シラミのフケくらいには良心があるんだな、お前ら。
「さてさて鏡花さん、撃ち合いをするゲームのようですが、作者の腕前はいかほどなのでしょうか?」
「そうですわね………箸にも棒にもひっかからない。もしくは………カーーッ! ペッ! というレベルでしょうか?」
「ヘボなんですね?」
「とにかく突撃ばかりしていて、味方さんに御迷惑ばかりおかけしておりますわ………」
「つまり、ヘボ?」
「違いますわ、緋影さま。あの手の輩は『どヘボ』もしくは『チンパン・プレイヤー』と申しますのよ?」
「………雑魚にすらなれないだなんて、気の毒な味方さん」
お前ら、すこしは手加減とか手心というものをだな………。
「ちなみに緋影さま? あまりの『どチンパン』っぷりに、私メッセージを作者に送ってしまいましたの?」
「まあ、鏡花さんはお優しい………。で、どのようなメッセージを?」
「少しは下がることを覚えなさいなっ、このサルっ! ………ですわ」
「作者に必要な言葉ですね」
肯定するんかい。
否定してやれや、ちったぁよ。
「そんな、どチンパンな作者ですが、言うことは一人前でしてよ?」
「ヘイヘイ、そこの戦艦! 島の陰にかくれて浮き砲台キメ込んでんじゃねーよ! 魚雷撃っちゃうよ、魚雷?」
「空母なんざ飛行機なけりゃただの的だろ! ヘイヘイ、後ろに引っ込んでないで前に出て来な!」
戦艦にも空母にも、勝利のためには基本的な使用方法がある。
それを無視して前に出て来な、とか言う作者は、人間として間違っていると思うぞ。
「ちなみに作者、駆逐艦や軽巡洋艦ばかり使ってますのよ?」
「そのココロは? ………せ~~の!」
『魚雷が好きーーっ!』
あぁ、やっぱり作者はダメ人間なんだ。
「そして突撃が好きなんですのよ!」
「大きな艦を沈めるのが快感なんですっ!」
「空母を仕入れたりもしましたが、練習で二~三回使って倉庫行きになりましたわ!」
「戦艦なんて買ったその場で売却しましたね!」
いいか二人とも。
絶対に………絶対に間違った結論に至るんじゃないぞ?
「作者も偏った人間ですねぇ」
「きっと偏ったまま、昭和から生きているのですわ!」
待て! それ以上踏み込むな! 間違った結論に至ってしまうぞ!
「すごいですね、鏡花さん! 人間は偏ったまま生きていけるん………」
ガタンという音。
畳が開いて、床に空間が。
二人はちゃぶ台ごと、暗黒の世界に落下していった。
そしておなじみの水音。
悪は滅んだ。
と思ったら、芙蓉が穴にダイナマイトを放り込んだ。
もちろん導火線には、火花が走っている。
「さあ、みんな! 伏せてーーっ!」
芙蓉の言葉に身を伏せると、ドンという爆発音と水柱。
宙に舞った二人は、『トシちゃんかんげきーーっ!』と叫んでいた。
この状況で、昭和ネタをひろうとは。
なかなかに見上げた根性である。
次回予告
………をする余力なし!
お粗末でした。




