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***アンファミーユ第3部(En Famille Part 3)***  作者: 湖灯


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40/43

【踏み抜けてしまった階段⑤】

「やべえ!崩れるぞ!!早く逃げろ!!!」

 建物の下からトーニの大声が聞こえた。


 2回目の水蒸気爆発で俺と偽ミヤンが建物の外に吹き飛ばされそうになったとき、この建物の正面のコンクリートも吹き飛ばされ、剥き出しの鉄筋がまともに熱を受けている状態になったらしい。


 こうなると建物を支えている鉄骨が直接熱に晒されることになり、かなりヤバい。

 テルミット反応による強力な熱により外壁を覆っているコンクリートにはジワジワと熱が堆積して既にもろくなっているはず。

 一部にせよコンクリートが崩れて熱伝達率がコンクリートの40倍もある鉄骨がむき出しとなれば、火災現場に最も近い正面で受けている熱は急速に建物全体に広がり、建物は構造上の強度を失って行く。


 アメリカで起きた9.11同時テロで旅客機に突入されて崩れた、あの世界貿易センタービルのように。


 耳を澄ますと、時々不気味なカンッという甲高い不気味な音が聞こえるのは、鉄骨同士を組み合わせている幾つものボルトが、熱膨張による異常な力が掛かり千切れ飛んでいる音だ。


「全員退避!! 気絶している敵は担いで降ろせ!」

 ハンスの声が響き、ブラーム、モンタナ、フランソワとハンスが屋上に倒れていた4人を担いで降りる。

 他の者たちは下の階に拘束している者たちを避難させている。


 俺も偽ミヤンを担いで、慌てて階段の方へと向かう。


 誰も戦場に残さない。

 たとえその者が既に死んでいたとしても。


 これはアメリカ海兵隊とネイビーシールズの「誰一人残さない」と同じ我々LéMATリマットの基本理念。


 しかし退避中に3度目の爆発が起きてしまった。

 既に耐久力の限界を迎えている、建物はこの爆発により一部が崩壊し始めた。

 非難のしんがりにいた俺たちは丁度二階の階段を降りていたが、急にその部分が崩れ落ちて俺の前を降りていた3人が1階まで落ちた。


 状況を確認すると、1人は意識があるが足を怪我して動けない。

 後の2人は気絶しているのか呼んでも動かなかった。

 すぐに2人の隊員が駆けつけてきて、意識のない2人を運び出して行った。


 なおも炎による轟音が響き、つねに建物から既に砂に戻ってしまったコンクリートがサラサラと雨漏りのように流れている状況。

 このまま怪我をして動けない隊員を放置する訳にもいかないので、私は担いでいた偽ミヤンを降ろしてもう死んだ彼に言った。

「必ず迎えに来る」と。




 建物に近付くと、既に建物のどこかのコンクリートがはげ落ちているらしく、鉄骨が悲鳴を上げていた。

 もう崩落は時間の問題。

 そのことを悟った外人部隊の小柄な隊員が、全員に建物内に取り残されている者たちの避難活動を行うように大きな声を上げて指示していた。


 そうとうな戦闘があったのだろうと思って見ていると、彼らが連れ出しているのは戦闘服を着た外人部隊の隊員ではなく、みなスーツを着た我々POCのメンバーだったが、その中にメェナードさんは居なかった。


 居ても立っても居られなくなり、腰のホルスターから拳銃を取り出して突入しようとしたとき、急に後ろから肩をつかまれた。


 “メェナードさん!?”

 私は、そう思って振り向いて驚いた。

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― 新着の感想 ―
 酷い火事の中、ナトーちゃんはメェナードさん一生懸命運んでくれたんですね。  必ず迎えに来る、このセリフが泣かせます。  大事な人を失った時、恨みや復讐にエネルギーを注ぎ込込むことで精神のバランスを…
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