表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
***アンファミーユ第3部(En Famille Part 3)***  作者: 湖灯


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/43

【踏み抜けてしまった階段①】

 何度も転びながら、森の奥に続くけもの道をオートバイで進む。

 後輪が木の根に滑り空転して転びそうになったのを何とか足で踏ん張って耐えた。

 もう熱くてヘルメットなど被っていられないが、ヘルメットを外したままで転倒して頭を打ってしまうと成すべきことが成しえなくなってしまうので、ここで一度ヘルメットを外して止まることにした。

 止まると言っても、これは物理的に泊まるという作業に過ぎず、前に進まないという訳ではない。

 こうして止まることで上がったままの血圧を下げて体温を冷ますことや、周囲の状況確認、そしてオートバイの操作に忙しくてなおざりになっていた部下との連絡を行った。

 搬入搬出の都合で遅れて出発した医療班は順調にこっちに向かっていて、あと20分で到着できると返事があった。

 20分……。

 思ったより早いとは思うが、もっと早く来て欲しい。

 けれども急がせてもし事故でもされたら到着時間がより遅れるだけでなく、緊急手術に必要な医療機器の不具合や医師の怪我によって万が一の場合に用意したものが役に立たなくなってしまうことも考えられる。

 だから私は焦る心を抑えて、彼らに安全を最優先にして来るようにとだけ伝えた。


 連絡を終えヘルメットを再び被ろうとして止めた。

 なんとなくクラウディのことが気になった。

 彼女もグリムリーパーに強い執着を持っている一人。

 そしてクラウディは今このパリにいて、この状況も知っている。

 彼女には余計なことはするなとは伝えてあるが、クラウディもグリムリーパーのせいで家族を失い私と同じような境遇。

 もしも私が彼女なら、この復讐のチャンスをみすみす見逃すはずはない。

 たとえそれで自ら死を選ぶ結果になったとしても。

 クラウディに連絡を試みるが、やはり彼女は出ない。

 予想通り。

 私は急いでヘルメットを被り、オートバイを走らせた。


 何かあってからでは、取り返しがつかない。

 むろんクラウディによってナトーが死んでしまう事は一時的に悲しい気分になるのかもしれないが、その気持ちはおそらくすぐに収まる。

 ナトーがグリムリーパーとして犯してきた罪は、一回の死で補えるようなものではないのだから。

 ナトーは彼女が殺した全ての死を償わなければならない。


 ただナトーはグリムリーパーと言う死を司る神。

 もしこれが本当であるとすれば、彼女は決して人間の手によって倒すことは出来ない。

 そればかりか神に逆らう者には必ず罰がくだされるはず。


 “罰とは、いったい……”


 私はそのことを考えるのが怖くて、無我夢中でオートバイを走らせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 サラちゃんとナトーちゃん、とても劇的な生涯を持つ姉妹。  どうにか仲良くなる方法は無いのかなって思います。  クラウディ、下手なことしないでいてくれるといいのですが。  いつか、逢って話し合う事が必…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ