第八話求人募集でやってきた個性的なお爺さんと少女
店へと案内された私は驚愕した、本当に建ってた。店が建ってた。触り心地が良さそうな木材で出来た木造建築だ。大工さんが作って貰ったのだろうか。
「この領には大工が居なくてだな!他の領から来てもらったんだ!他にも…」
「主人は話が長いので中を案内しますね。」
「アッハイ。」
商品棚もカウンターも綺麗だ。埃被ってないのが不思議なくらいだ。アリス様が案内してくれて2階には何と住宅スペースもあった。有難い…
「アイテム屋さんが来てくださって主人も私も嬉しくて嬉しくて…」
「アイテム屋ってそんなレアなんですか?」
「ええ、素材を買ったり出来るのはアイテム屋だけなので。」
詳しく聞くとどうやらアイテム屋は現代で言うならばホームセンター兼スーパーのようなものと考えた方が良さそうだ。錬金術師、大工、料理人、農家などの専門職が取り扱う素材屋、主婦の皆さんがこぞってやってくる食材屋。うん、間違ってない。
「えっと…」
あるのは卵、じゃがいも、カブだ。だがこれだけでは…と思っていたらお腹が鳴った。何か作ろう。味噌汁とおにぎりがいい。おにぎりセットの作り方はお米、塩、味噌、豆腐、葱だ。投入すると鍋で煮る音からの電子レンジの音が鳴り響く。出来上がった音だ。
「おにぎりセット食べますか?」
「宜しいのですか?」
「はい。」
「お優しいアイテム屋さんですのね。」
おにぎりを一口食べると驚愕していた。何故に?と思っていたらふっくらとしたおにぎりだからかと納得した。そしてプルプルと震え出して…
「これは何で出来てますか?」
「お米です。」
「おこめ…」
「こっちには米はねぇのか?」
「シロさん!」
「農家に聞いてみないと分かりませんわ。あるとしても家畜の餌とも言えるものと…後は小麦くらいですので。」
領主様のフェニックス男爵が何かを持ってきた、商売になればと思って持ってきたのだろう。家畜の餌ってこれ。お米じゃん。
「お米ですね。」
「これがあのおにぎりになるのですね。」
うーん、でも困ったなぁ。炊飯器もなしに炊くってなったら…やり方分からん。シロさんが何か言いたげにしてたので聞いてみることに。
「求人募集。」
「あ。」
なるほど、お米の炊き方を知る料理人を見つければいいんだ!と思い出した私は求人募集を見ることに。
「お爺さんがお子さんと一緒に募集してる。」
「ちょっと見せてくれ雇い主。」
「はい。」
「…知り合いだ。」
「知り合い?!」
「このマスカ爺さんは魔道具職人だ。」
「魔道具職人…」
え、ひょっとして炊飯器作れます?と目配せしたら出来るなと呆気なく言ったなんだったら精米機も作れると…なんでもありなのそのお爺さん。
「ちなみにだがこの子供の方はルカってんだが…こいつは中々の強さでよぉ…」
「何の話ですか?」
「あ、いえ、なんでもありません!」
畑も牧場もしなければならない、求人募集も常時チェックせねば。二度所か四度も忙しい気がする私は商品を取りに行ってきますと言って出ようとしたのだけども。
「長旅で疲れたのでは?」
「あ、いや…」
正論である。長旅をしていたら疲れるのが人間というもの。体力のないに等しい私は一旦住宅スペースで休むことになったのだった。歓迎会は店を開いた時にして貰いたいとお願いしてしまった。商品もないのに開いてもね。
「ゆったり出来そう。」
そう思いながら寝たのだった。久しぶりのベッドなのでぐっすりと眠れた。次の日の朝、パスタ領に住む人達が出迎えてくれた。アイテム屋は何処も必須らしい。まあ不便だもんね。
「仕入れに行ってきます。」
そう言ってシロさんと一緒に歩いていったのだった。そして山奥にある森の中で門を設置した。
「ここから通り抜ける感じか。」
「求人募集まだあるかな。」
「あー…あると思う。マスカの爺さんとルカのコンビは中々癖があるからな。」
つまり何処も手を焼いてるということでは?と思いながら【牧場ゲーム】のスキルの中へ入ったのだった。
「自動で餌やりしてくれるのは助かるなぁ。」
「自動か?」
「みたいですね。」
早速求人募集でマスカのお爺さんとルカちゃんコンビを選んだ。気になるのは親子ではなくコンビという点だろう。
「ああ、あの二人はコンビだ。親子じゃねぇ。」
「なんで?」
「見りゃあわかる。」
しばらく待っているとガハハッ!という声とわー!という声が聞こえてきた。声がする方へと見ると。筋肉ムキムキなお爺さんとフードパーカーを被っている少女がいた。何故に触手?
「ルカのペットだ。」
「ぺっと。」
「お姉さんが雇い主ぃ?」
「そ、そうだよ?」
「ガハハ!ワシらを雇うとは変わった雇い主じゃゃの!」
「雇い主ぃ!」
「あー…えっと?」
「ワシはマスカ!マスカ爺と呼ばれとる!」
「私はルカだよぉ、よろしくねぇ。」
「ヒヨリです。」
変わってるってどういう意味でと聞いたら早速何かを取り出したマスカ爺さん。ルカはルカで辺りを見渡していた。
「畑だー!ひろーぃ!」
「ふむふむなるほどのぅ。変わった場所じゃのぅ。ワシの魔道具でも感知出来ん牧場とは…ガハハッ!」
「マスカ爺さんは凄腕の魔道具職人だが一癖もある爺さんでな。爺さんと言わねぇとキレる。」
「え。」
「ジジイと呼ばんか!」
「こんな感じ。ルカはルカでペットである触手を頻繁に出す。そのせいで怖がられる。」
「触手出していいぃ?」
ああ…何故私は一癖も二癖もある人材を引き当ててしまうのかと察してしまった私は現実逃避をするべく畑仕事へと向かったのだった。
個性的な求人募集で良かったね^^




