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虫森  作者: 小円説
虫森〜森の変化と、希望との出会い〜

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8/15

日常崩壊〜対抗の始まり〜

もう何時間走り続けただろうか。

なんなんだ、あの怪物は。数秒前までそこにいた母さんが消え、入れ替わるようにあの場所に出現した。まさか、母さんが……。いや、違う。そんなわけがない。


逃げなきゃ。あの化け物は、僕が見ている間にもどんどん巨大化していた。今や数十メートルはある巨躯となり、森を見下ろしている。

「そうだ、この先に民家があったはずだ。あそこに逃げ込めば、ひとまず距離を取れる!」

僕は必死の思いで、村の北にある民家へと向かった。


扉を叩き、中へ滑り込む。

「すいませーん! 誰かいませんか!?」

返事はない。僕は藁をも掴む思いで、奥の一室を勢いよく開けた。


「何者だ!」


鋭い声と共に、暗がりから銃口が突きつけられた。部屋の中にいたのは、一人の軍人だった。彼は全身を強張らせ、僕を鋭く警戒している。

「ここの村民です! あなた、軍人さんですよね。助けてください、この森から出たいんです!」

「……住民だと? それなら俺より出口に詳しいはずだ。こっちが教えてほしいくらいだ」

「違うんです。村の西にある橋を、他の軍人たちが占拠しているんです。説得して、僕達を通してもらえるようにしてもらえませんか?」


「無理だ」

軍人は吐き捨てるように言った。

「今、この島では未知のウイルスの感染が疑われている。そのため、俺を含めた全員の脱出が禁じられているんだ」

「そんな……ウイルスなんてありませんよ! みんな、さっきまで普通に――っ」


言いかけて、僕は言葉を飲み込んだ。さっき見た、母の消失と怪物の出現。

「……ふむ。途中で言い淀んだってことは、何か心当たりがあるようだな。少し情報を交換しないか? 一般人には秘匿すべき情報も含まれているが、今はそんなことを言っていられる状況じゃない」


そう言って、軍人――カンラは重い口を開いた。


【回想】

「特殊部隊員カンラよ」

「はい。何用でしょうか」


電子音が鳴り響く司令部。上官の声が冷たく響く。

「例の『怪物化事件』については知っているな」

「ニューネークで発生した事件のことですね。存じ上げております」

「あのような事件が全米各地で頻発している。そして、その変異者たちの共通点が、ある特定の『森』の出身者であることなのだ」


「なるほど。それで、私に何を?」

「単刀直入に言う。その森に潜入し、原因を突き止めてもらいたい」

「了解しました。人数と期間は」

「部隊を丸ごと一つ貸し出す。期間は一ヶ月だ。その後、西にある橋で合流する。それでいいな?」


潜入当日。ヘリの機内は、どこか楽観的な空気が流れていた。

「じゃあ、行ってこいよ。野郎ども」

「ああ、任せとけ」

パイロットが軽口を叩く。

「お前らを投下したあと、基地に戻って一人で一杯やるのが楽しみだぜ」

「ふふ、俺たちが帰るまで待ってろよ」

「だまってろ。……よし、時間だ。投下開始!」


俺たちは次々と森へ飛び出した。

ちょっとした旅行気分ですらあった俺たちが、一人残らず惨殺されることになるとは、この時は思いもしなかった。


【回想終了】

「……現状はこんな感じだ。その後、俺たちを送り届けてくれたヘリも、鬼のような仮面を被った奴が投げた刀によって墜落した」


カンラの告白に、僕は息を呑んで応えた。

「僕は、さっき話した出口の近くで、数十メートルはある『人形の化け物』を見ました。目まで大きく裂けた口をした、不気味なやつを……」


「……この時点で、この森には少なくとも二つの怪物がいることが判明したわけだ。刀を使う『鬼武者』と、巨大な『人形』か」


カンラは銃を強く握り直した。外では、またあの不快なノイズが響き始めていた。

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