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虫森  作者: 小円説
虫森〜与えし者と奪いし者。〜

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13/20

日常崩壊~新たなる望み~

壊れていく。心が、記憶が、世界が。もう生きていたくない。

友達も、家族も、すべて失ってしまった。


「起きろ……! 起きろッ!」

「はっ! か、カンラさん……僕は、寝ていたのか……?」

「ずっとうなされていたぞ。家族を失った、とな。……そういえば、お前の父親はどうしたんだ? 母親が死んだのは聞いたが」

「え……? 父さんは……父さんは、$tj7mg'4d'4m@t4dgtgmg$ ――」


【 ビー、ビー、ビー!! エラーを発見しました。直ちに修正に入ります 】


「なっ、なんだ!? この耳をつんざくようなサイレンは……!?」

「か、カンラさん……」

震える声で僕の名を呼んだ直後、少年の身体がノイズのように揺らぎ――そのまま僕の目の前から消失した。

「……おい! どこへ行った!? どこへ消えたんだ!!」

返ってくるのは、無機質な静寂だけだった。



数時間後




「……落ち着け。整理しろ」カンラは一人、荒い息を吐きながら思考を研ぎ澄ませた。

あのサイレン、そしてあの子の消失。

おそらく、あの子の父親はこの森の理において、決して触れてはならない『例外的な存在』なのだ。


あの子自身も、今の今まで父親のことを忘却させられていた。消えてしまったあの子は、もう死んだの

か? ……いや、希望を捨てるのはまだ早い。

俺は一度、この状況を地図マップとして脳内に展開した。

【北】:鬼武者が徘徊するエリア。現在は空家となった民家がある。

【東】:討ち取った巨人の死骸と、大量の「ダルク」のなり損ないが埋め尽くす湖。

【西】:軍が封鎖した橋。唯一の外界へのルートだが、軍人が占拠している。(いったところで本当に助けてもらえるのか?)

【南】:――完全なる不明。


「……妙だ」鬼は現在、東へ移動した。北は一時的に安全だ。

だが、なぜ北と東にばかり化け物が集中している?変異した巨人も、なぜ近くの住民を襲わず、わざわざ一番遠い東の湖まで移動したんだ?

西の村を食い尽くしたなら、次に近い北や南に流れるのが自然だろう。北は「鬼」を恐れたとしても、なぜ南へは行かなかった?


「南に、何かがあるのか……?」


行き先は見えた。

だが、出発より優先すべき問題がある。『コード07』だ。

投下まで残り5日の猶予があるはずだが、非公式の隠蔽作戦だ。

上層部が手続きを無視して早める可能性は十二分にある。

「短ければあと3日。長ければ5日。……安全を考えるなら、今すぐ隔離車を強奪して逃げるべきだ」


俺の命だけを救うか。それとも、あの子を捜すか。恐怖が首筋を這い上がる。死ぬのは怖い。

唯一無二の、絶対不変の感情――「生への渇望」。

「あの子は消えたんだ。もう関係ない。俺は、俺の命を守るべきじゃないのか?」

自分に言い聞かせるように呟いた、その時。耳の奥で、あの子の声が蘇った。


『カンラさん。ありがとうございます。カンラさん』

「……クソったれが」たった数日の付き合いだった。父親の代わりを演じていただけだったのかもしれない。

だが、俺を父のように慕ってくれたあの子を……

「エラー」として消されたあの子を見捨てて逃げ出すほど、俺はまだ、腐っちゃいない。

「……待ってろ。今すぐ見つけてやる」

カンラは銃のボルトを引き、南の闇を見据えた。

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