100「エミリー・クライオット(1)」
祝100話 到達〜。
『生活魔法版『治癒』の魔道具』を販売してから2週間が経った。
「えー皆さん、生活魔法クラブから出した初めての魔道具ですが⋯⋯かなり売れているようです」
ワッ!
フリオ先生の言葉に部員皆が各々感想を述べる。
「すごいよね。私も実際にラミング商会で受付して思ったけど⋯⋯だって列を作っていたくらいだもん!」
「そうですね。私のときも列を作ってました」
「いや〜、俺なんか実際に父親から『すごい売れてるぞ!』ってわざわざ言われたくらいだったもんな!」
そんな、魔道具の販売好調の話からさらに、
「そして、今度はこの『鎌鼬の狂い刃の魔道具』も早速明日から販売となります」
そう話す先生の手には、昨日完成した私のオリジナル魔法『鎌鼬の狂い刃の魔道具』があった。以前は『魔石に封入しただけ』だったが、今はソアラちゃんの加工により、『籠手』のような形の魔道具となっていた。
「ふふん! どう? かっこいいでしょ? 今回の魔道具はラルフのオリジナル魔法の中で『攻撃特化の魔法』だったから『龍の口をイメージした籠手』にしたんだ! あと、この緑色は『風魔法』に属する魔法だからそのイメージ色の『緑』よ」
と、ドヤ顔で嬉しそうに話すのはソアラちゃん。
ちなみに、これら魔道具加工したものはソアラちゃんしか作れないので、すべてが『限定品』となる。とは言っても、ソアラちゃんの魔力はかなり多いので1日20個くらいまで製作可能だ。
とはいえ、現在『治癒の魔道具』は需要に供給が追いついていないのでソアラちゃんには頑張ってもらっている。
とりあえず、現状はソアラちゃんまかせになるが、今後はイツクール村にいる優秀な魔道具加工職人を生活魔法クラブに連れてきて、作業してもらう予定となっている。
ソアラちゃんの話では、「一度製作した魔道具であれば、その魔道具の製作イメージが固定されるのでそのイメージを職人に伝えれば自分以外の職人さんでも作れるようになる」とのことだった。
そして、現在『治癒の魔道具』だけでもかなり売れているので、今日から販売する『鎌鼬の狂い刃の魔道具』もすぐに売れるだろうと予想された。
そのため、フリオ先生と学園長がすでにイツクール村へ行き、魔道具加工職人の追加要請についての具体的な話し合いを進めていた。そんなフリオ先生から
「あと、この前ソアラ君が言っていたイツクール村から魔道具加工職人の追加要請の件だが、こちらも話し合いはうまくまとまり、結果来週から早速来てもらうことになりました」
「「「「「おおおお⋯⋯!!!!」」」」」
「ですので、今後の目標として、さらに魔道具加工を進めて商品のラインナップを増やしていきたいと思います」
「「「「「はいっ!!!!」」」」」
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次の日——いつものように授業を終え、生活魔法クラブへ行くと、
「んん?」
部室の入口に一人の女子生徒がウロウロと挙動不審な感じで中を伺っていた。⋯⋯どう見たって怪しい。
「あ、あのぅ⋯⋯」
「(ビクゥゥゥっ!!)し、失礼しましたぁぁぁぁ!!!!」
そう言うと、有無を言わさず速攻で逃げ出した。しかし、
ガシッ!
「何やってんだ⋯⋯⋯⋯エミリー?」
「あああああ⋯⋯って、テイラーっ!!」
その女子生徒を捕まえたテイラーが「エミリー」と声を掛けた。その女子生徒の反応を見る限り、どうやら知り合いのようだ。
「テイラーの知り合い?」
「いや、知り合いも何も幼なじみだし、それにラルフ⋯⋯エミリーは俺たちと同じ魔法自由科の生徒だぞ?」
「え?」
あ〜⋯⋯そう言えば、そんな名前の人いたような⋯⋯。
「え? ああっ!! あんたラルフ・ウォーカーじゃない!」
「「⋯⋯え?」」
エミリーという女子生徒がまさか名前をフルネームで呼ばれるとは思っていなかった俺とテイラーは、一瞬その場で硬直するも、すぐさま、
「お、おい、エミリー! なんでお前ラルフのこと知っているんだっ!?」
と、エミリーという女子生徒の突然の名指しの理由をテイラーが聞くと、
「いやだってクラスメートだし⋯⋯」
さもありなん。
「いや、まーそうだけど⋯⋯! でも今のお前のリアクションはただ知っているって感じだけじゃなかったろ!?」
「さーすが。私の幼なじみだけはあるわね、テイラー」
「いや、何で上からなんだよ」
さすが幼なじみだけあって、夫婦漫才のようなテンポの良いやり取りである二人。
「ていうか、あとお前! 生活魔法クラブの部室の前で何やってたんだよ?!」
「あ、そうそう! 部長さんか、あんたを探していたのよ!」
「何?」
「私、ずっと迷っていたんだけど⋯⋯やっぱり生活魔法クラブに入りたくて⋯⋯それで入部に来たの!!」
「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」
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mitsuzo




