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The world is all fiction.  作者: Story teller
本編(仮)
25/28

アスモデウスの秘密1

「はじめまして。僕はセブンズ・シンの一人、“色欲の艶山羊”ラスト。君達がプライドの言ってたカミシロ三兄弟だね?」

「はじめまして、そうだよ。じゃあ、君に倣って僕達も名乗ろうかな。丁度学園で付けられた字もあることだし。」

「ふーん、ではお聞かせ願おうか。」

「僕は末弟、“創造神(クリエイター)”のソウ・カミシロ。そして一番身体が大きいのが次兄、“破壊神(デストロイ)”のカイ・カミシロ。残りの一人が長兄、“守護神(ガーディアン)”のマモル・カミシロ。」

「ソウ…。“残りの一人”って言い方地味に何か傷付くんだけど、もう少し何とかならなかったのか…。」

「あ、そうなの?ごめんね。じゃあ“優男風の”とかが良かった?」

「…いや、もう良いよ…。」

「自己紹介はもう良いかい?まさか君達もわざわざ名乗る為に僕の元へ来た訳ではないのだろうし。」

「そりゃそうだ。しかし意外だな。セブンズ・シンは大陸でも屈指の魔法使いの集団と聞いたからどんなのがいるのかと思ってたら、俺達より幼い子供がいる組織だったなんて。」

「ふふ、君は何か勘違いをしてるようだね。僕にとってそんなのは瑣末なことだ。僕は姿を自在に変えられるのだからね。」

「ふん、成る程ォ。お前、変身魔法の使い手かァ。」

「いや、違う。より正確に言えば、通常のそれとは違うと言ったところかな。」

「?」

「…まあ良い、そろそろ本題に入ろうか。お互い、あまり時間はないのだし。」

「そうだね。でもその前に一つだけ、どうしても訊いておきたいことがあるんだけど。」

「何だい?」

「この戦争を止める気はないのかい?」

「何故、そんなことを訊く?」

「それは、見たところ君が自分の意思で僕達と戦いたがってるように見えないからさ。」

「こう見えて、山羊は結構好戦的だ。知らないのかい?」

「だけど中にはそうじゃなく、穏やかな山羊だっているだろう?反対に、好戦的で従順でない羊だって。」

「…。」

「それに、大陸でもトップクラスの魔法使いなら分かるはずだ。いくら相当の手練れでも、僕達三人を相手取って敵うはずはないと。それなのに、何故?」

「プライドが僕にそういう命令を下せば、僕はそれに従うのみだ。そして今与えられてる命令は君達の打倒、及び殲滅だ。だから、僕はそれに従う。ただそれだけだよ。」

「どうしても?」

「どうしてもだ。他の者の言いなりになるつもりはない。たとえプライドの本当の目的が、君達を倒すことではないとしても。」

「君は…!何故それを分かってるのに、そこまであの男に…。」

「そうだよ。そんな酷い話があって良いはずがないじゃないか。」

「僕が役に立たないから見捨てられた、ただそれだけのことだ。だから今の僕が唯一できることで少しでも役に立って、次の僕がちゃんとできればそれで良い。」

「“次の”君?何のことだ?それに…。」

「君達には関係のないことだよ。じゃあ話し疲れたことだし、そろそろ行くよ。」


「カイ兄、それ以上はダメだ。」

「!」

「何…で?早く…楽に…して…くれないかな…?」

「何故?君を殺す必要なんて、どこにもないよ。大体君は、もうあの男の真の目的を達成したじゃないか。」

「して…ない。プライドの…真の目的は…君達の…力を量り、そして…その結果…僕が…死ぬこと…なのだから。」

「何故、君が死ぬことが目的になる?それは単なる考え過ぎじゃないのかい?」

「…そう思うなら…それでも…良いよ。」

「…“次の”…。」

「?」

「“次の”君。さっき言ってた。それと何か関係してるんじゃないのかい?」

「…。」

「!…話す気は…ないんだね?」

「…ああ、さようならだよ。君達が…僕にとどめを…刺さないのなら…こうするしかない…。でも君達との…戦いは…少し…楽しかったかな…?」

「させないよ。」

「!?…何の…つもり…?放してよ…!」

「君が話したくないなら、それでも良い。でも…死ぬことは許さない。LOの全解放で自決するつもりだったのかもしれないけど、残念だったね。僕がこうして君のLOの流出を防いでる限り、君は死ねない。同時に、魔法も使えないからその拘束も解けない。」

「くっ、何故だ…。何故…こんなことを…!」

「僕はね…殺される為に生まれた命なんてないと思ってるんだ。いや、すべての命は寄り添い、支え合い、そうやって生きる為に創られたんだとすら思う。それはただの僕の願望かもしれない。だけどそれなら、だからこそ生きて欲しい。どんな存在にも、勿論君にも。ただそれだけだよ。だから僕は、命を軽んじ踏み躙るこの戦争を止めたいんだ。」

「ふん…。聞くに…値しないような…幼稚な…綺麗事に…絵空事だね。」

「ふふ、君にとってはそうかもね。」

「!…良いのかい?敵に塩なんて送ってしまって。また同じことをするかもしれないのに。」

「そうしたら僕も、また同じことをすれば良いだけだろう?」

「…。」

「はは、まぁ一件落着ってことで良いのかな?」

「だなァ。」

「そうは行かん。」

「!?」

「誰だァ、お前ェ。」

「私はマコト…と呼ばれている。君達にはこちらの姿の方が馴染みがあるかな?」

「あ!君は、アルカナ・ジョーカー!」

「どうしてお前がこんなとこにいるんだァ?まさか偶然な訳はねェよなァ?」

「勿論だ。私は君達に会いに来たのだ。真実の使者としてな。」

「真実の使者?どういう意味だ?」

「そこにいるラスト、いや、アスモデウス・ゴートの真実を知りたいのだろう?」

「!」

「何故初対面の私が君の真の名を知っているのか、そして何故その場にいないはずの私が君達の意思を把握していたのか疑問か?それは私がこの世界で唯一、すべての真実を知る者だからだ。」

「…疑問の解決になってねェ…。」

「学園にいた時から、謎の多いヤツだと思ってはいたが…。」

「…頼む…、やめてくれ…。」

「…。いや、この人はちゃんと疑問に答えてるよ。」

「何ィ?」

「つまりアルカナ、いや、マコトはそういう能力を持ってるってことだよ。さっきラストが言ってた姿を変える固有の魔法みたいな、そういう特別な魔法を使える人なんじゃないかな。」

「その通りだ、中々察しが良いな。流石は、学園一の魔法使いと言ったところか。」

「いや、でもマコトが嘘を吐いてる可能性も…。」

「何の為に?それにラストのあの様子から見ても、僕にはマコトが嘘を吐いてるようには見えないよ。」

「確かになァ…。なァマコトォ、何の為にわざわざ他人の秘密をバラしに来たんだァ?」

「アスモデウス・ゴートは自らの真実を隠したがっているようだが、私は世界の真実を暴く為にその選択を良しとすることは悪いができない。だから来た。」

「でも、さっきこの世界の真実をすべて知ってるって言ってたよな?なのに何故今、それを覆すようなことを言ったんだ?」

「“知ってる”ではなく、“知る”と言ったのだ。つまり私は真実を暴き、知る者だ。しかし、君の言う“知ってる”と言うのも強ち嘘にはならない。先にも言ったように私の能力の都合上、大抵のことは知ることができるからな。ただし何らかの強大な力、一般で言うところの“運命”のような力によって知ることができない真実があることもまた真実だ。」

「成る程、随分壮大でロマンチックな話だな。しかしラストの“真の名”とやらの真偽は知らないにしろ、確かにその場にいないはずのマコトが、ラストが何かを話したがらないことや、そして俺達がそれを知りたがってることを知ってたのは事実だ。だが…。」

「あァ、本当に信用できるのかァ?もしかしたらただ単に、実は近くで見てたのに俺達が気付いてなかっただけかもしれねェぜェ?」

「察しの良い弟と違って、君達は随分と私を疑うのだな。今の君達はまるで、胡散臭い道化師でも見ているかのような眼差しをしている。」

「だって今んところ、そうだしなァ?」

「ま、まあな…。というか学園でも、君は格好から立場から立ち居振舞いから名前に至るまですべてが道化師だったじゃないか。そんな君の何を信じろって言うんだ?」

「やれやれ、誠に残念だ。在学中も含め私は君達に隠し事こそすれ、嘘を吐いたことなどない。というより、生まれてこのかた嘘を吐いたことは一度もない。」

「嘘吐けェ。“アルカナ・ジョーカー”って名前が偽名だった時点で、最低でも一回はもう嘘吐いてるよなァ?更に今のでもう二回目だぜェ。尚更信用なんねェなァ。」

「偽名?それは誠に心外だ。君達は、先入観や固定観念で物を言い過ぎではないか?常識や一般論に捕らわれることは、真実を追求するにあたって致命的な障害となるぞ。名前は一人に一つだと誰が決めた?」

「そ、それはそうかもしれないが…。」

「アスモデウス・ゴートと違い、私の名前はすべてが生まれた時に授かった本名だ。それに私が信じられないのなら、彼に訊いてみれば良いだろう。君の真の名は私が口にしたものと同じものか、とな。」

「そうなのか…?」

「答えなくても分かってるのだろう?ソウ…君には。」

「…うん。僕にはマコトみたいな読心めいた能力はないけど、嘘を見抜くくらいは魔法を使わなくてもできるからね。」

「じゃァ…。」

「そうだよ、僕の真の名はアスモデウス・ゴートだ。そこにいるマコトとやらとは初対面だし、そんな大事なことを容易く他人に教えたこともない。唯一知る人物は、セブンズ・シンのメンバーだけだ。そのメンバーの中の誰かが、他の違う誰かに話したとも考えられない。」

「何故、そう言える?」

「僕達の中の誰かが裏切った時は、それぞれに刻まれた紋章が赤く発光して熱を帯びるようになっている。こんなふうにね。だからさ。」

「!」

「僕が自ら真の名を明かした時点で、僕は裏切り者としての烙印を押された。直に、仲間達が僕を口封じに来るだろう。…まあ、口封じの意味なんてないのだろうけどね。でもそうなったら、いよいよ僕は生きてはいられないよ。」

「そんな…。君を追い詰めてしまったのは僕達なのに…。」

「そうだぜェ。仲間を殺しに来る仲間なんて、仲間って言わねェだろォがァ。」

「同情はいらないよ。僕は最初から死にたかったのだから。最後まで、満足にプライドの役に立てなかったことは心残りだけどね。でも、僕はまだ終わりじゃないのだし。」

「ねえ、良い加減その意味を教えてくれないかな?」

「…。分かった。最後にそれだけは教えてあげるよ。ここで口を噤んでも、どうせすべてマコトが教えてしまうのだろうし。それにたとえ彼がそうしなかったとしても、それはいずれ君達にも分かってしまうことだしね。」

「…。」

「僕はね、死んでもすぐにまた蘇る。でもそれは今の僕じゃない。次の僕だ。確実に引き継ぐのは能力以外は名前も記憶も人格も引き継ぐかどうかも分からない。たとえ引き継いだとしても、微妙に違う。ただそれだけの話だよ。」

「…?マモ兄ィ、今の話理解できたかァ?とりあえず生き返るらしいことしか、俺には分からねェんだがァ…。」

「うーん、そうだね…。つまり君は、何らかの術で転生するってことかい?でも名前も記憶も人格も能力もすべてを引き継ぐとしても、今の君と違うってことを何でそんなに強調するのか俺には分からないな。それに“引き継ぐかもしれない”ってのも、何か引っ掛かるんだけど…。」

「…。」

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