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The world is all fiction.  作者: Story teller
本編(仮)
24/28

タヌキとサヌキ

「君は、死んでもいいのか?」

「ああ。」

「何故だ?何故、生きようとしない?あんなに毎日、楽しそうに生きてたじゃないか。」

「…。」

「あの日々を、忘れたのか?そんなわけないよな?一緒に、取り戻すんだろ?なぁ、違うのか?違うのかよ!?」

「…。」

「答えろ!何故まだ生きられるはずなのに、それを諦める!?」

「…死にたいからさ。」

「…嘘…だよな…?またいつもみたいに…嘘…吐いてるんだよな…?」

「…。」

「何だよ。いつもと違って、全然面白くない嘘なんか吐きやがって…。」

「…。」

「もういいから、そういうの。早く本当のことを言えよ。」

「…。」

「おい、何か言えよ。何とか言えって!」

「…嘘じゃない、本当だ。」

「何…!?」

「もう生きてても、仕方ないじゃないか。僕の生きてる世界には、もう殆ど誰もいないんだ。他の皆だって、いつそうなるかも分からない。僕だって、きっと同じ道を辿る。だったら、ただその時を待つように生きてても苦しくてむなしいだけじゃないか。そんな脱け殻みたいな人生も、これ以上失うだけの人生も、僕は耐えられない。だから、僕も皆のいる所へ逝くんだ。きっと、皆も喜ぶよ。」

「…そんな…くだらない…理由で…!君は…死のうとしてるのか…?そんな…勘違いも甚だしい理由で…!!」

「ああ、そうだ。」

「そんなことをして、君の大切な人達が喜ぶと本当に思ってるのか?浮かばれると、本気でそう思ってるのか?もしそうだと言うなら…そうなら、僕は…君を一生軽蔑するぞ…?」

「…。」

「それに、君だって楽にはなれない。それくらい、分からない君じゃないだろ?」

「ああ、そうかもな。もしそうなら、それでもいい。頼む、逝かせてくれ。僕はもう決めたんだ。逝きたいんだ。」

「…!!今の君は…もうとっくに…その脱け殻じゃないか…!!」

「…ははっ、そうだな。そうだとしたらきっと、だから僕は死ぬのかもしれないな。今までありがとう、サヌキ。」

「ふざけるな!君は…そんなにつまらない人間だったのか?いつから…いつから、そんなに脆弱に成り果てた!?答えろ!答えろよ!!」

「…。」

「いつもの図太くて、気丈で、掴み所がなくて、人を食ったような笑みを絶やさずに飄々とした嘘吐きな君はどこへ行ったんだ!?答えてみろよ!」

「…。」

「…答えろって…!!」

「…。」

「…許さない…!!そんな勝手なこと…させない…!させるもんか…!!それだけは、絶対に許さない!!」

「…!?」

「…ははっ…。なぁ、知ってたか?」

「?」

「僕はずっと、君が羨ましかったんだ。自分が死ぬかもしれないなんてことを考えなくても、毎日暢気に生きられる君が。いずれ願いが叶うであろう君が!僕にないすべてを持っていた君が!!」

「…!まさかサヌキ、君は…!」

「…ああ、そうさ。僕はずっと、キツネのことが好きだった。今でもその気持ちは変わらない。」

「何故黙ってた?僕達は、そんな水くさい間柄だったのか?そんな浅い絆でしか、繋がってなかったのか?」

「違う、その逆だよ。」

「何?」

「いつまで生きられるのかも分からないこんな弱い身体なんかじゃ、到底キツネのことなんか守れないだろ。その点、君は僕より才能や力に恵まれていた。」

「…。」

「それに何より一番に、キツネは君のことを思っていた。そして君もキツネのことが好きだった。そうだろ?だからずっと…僕は…!」

「嘘だろ…?キツネが…?そんなバカな…。」

「嘘じゃない、本当だ。君がキツネの思いを、志を受け入れられずに嘘だと言うなら…そんなに生きたくないなら、その命を僕にくれよ!弱虫で逃げ腰な君の分まで、僕が戦ってやるから!生きてやるから!!僕はキツネの思いや志を、決して嘘なんかにはしないから!!」

「…それができるなら、そうしたいくらいだよ。」

「…ああ、そうだな。…だから…だから、君はまだ死ねないんだ。」

「?」

「君が死ぬ時は、僕も一緒だ。」

「何を言ってる?冗談はよせ。」

「僕が、冗談を言ってるように見えるか?だとしたら、君の目はとんだ飾り物だな。僕は、本気だ。」

「!」

「君が死ぬことは、僕が許さない。君がキツネや、テヌキさん、イヌキくん、皆のことを思うなら、その人達の分まで生きるべきだ。そうだろ?」

「…!!」

「だから、僕も一緒に生きる。約束する。君が死ぬまで、僕も死なない。そうだ、君が生きる限り、僕も生きる!だから、生きることを諦めるな!!生きて、僕と一緒に皆の分まで苦しめ!!そうすることを、今ここで僕と誓うんだ!!」

「…なっ…!!」

「僕達は、まだ死ぬには早すぎる。苦しんで、苦しみ抜いたらその後、今度は皆の分まで幸せにならなくちゃいけない。そして何より、生きてる限り皆の存在を忘れず覚えてなくちゃいけない。それが、生かされた僕達に課せられた責任であり使命なんだ。」

「…!」

「それに、嘆くのはきっと死んでからでもできる。でも、生きることに苦しんだり、幸せになって生きる喜びを知ったり、そういうのは生きてるうちじゃなくちゃできない。死んでからじゃ遅い。生きてるから、できることなんだ。そうは思わないか?」

「…!!」

「大丈夫だよ。君には僕が、僕には君がいる。それに、皆もきっと僕達を見守ってくれてるはずだから。僕達は、一人じゃない。全然、寂しくなんかないんだ。」

「…ああ…!!」

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