#45 誘拐の次は拘束
はじめside
「今日はお客さんが沢山来ますねぇ。そ・れ・も!アナタは人生で会えることはまず無いと言われている高貴な存在!私ってなんて幸せ者なんでしょう…」
「そう言ってくれるなら、まずはこの縄解いて欲しいんだけどね」
「クッソ、ガキも連れてかれたし、身動きは取れねぇし……どうすんだよ!」
ヘンゼルを探しに行こうと宣言したはいいものの、しらみ潰しに探すなんて悠長なことやってられない。最短で誘拐犯のところに行くにはどうすれば……と考えていた時。
急に床に大きな穴が空いて、ボクらは落ちていった。浮遊感に襲われ、意識が遠くなり───
いつの間にか気を失っていて、気づくとグレーテルはいなくなっており、ボクはヤンキー赤ずきんさんと一緒に縄でぐるぐる巻きにされていたのだ。
ボクらのいる場所は、まあまあな広さはあれど、窓のない不気味な部屋。なんで不気味なんて表現を使ったかって?だって───
「ドアがないんだからどうしようもないでしょ!てか、お前どっから入ってきたんだよ!」
「ふふん。ロンは魔女だから、魔法を使ってドアのない部屋に入るのも、鍵のかかったドアの先に行くのも楽勝なのです!でも、魔法を使ったってご飯は出てこない……。だから、お腹空いちゃったんです。アナタ達もすっごく美味しそうだけど、あの少年の方がそそられるので、また今度食べてあげますね。では、またいつか〜」
支離滅裂な話を一人でし、どこかへと消えてしまった。こちらは何もしていないのに、ヘンゼルに負けたと言われたら気分になり、少々落ち込む。ただ、こんなことをしている暇はない。
ロンが部屋から消えたのをいいことに、ボクらは部屋を探索する。ボクは左へ足を踏み出し、ヤンキー赤ずきんさんは右へ足を……って、え?
「おい、はじめ。何やってんだよ。一緒に巻き付けられてんだから、一緒の方向に行かなきゃだろ」
「じゃ、ヤンキー赤ずきんさん、着いてきてね」
ボクは特に深く考えず、探索出来ればいいと思っていた。けれど、ヤンキー赤ずきんさんは今のボクの言い方が嫌だったようで、足の脛を蹴ってきた。
痛みに悶えているボクを他所に、そっぽを向いて吐き捨てるヤンキー赤ずきんさん。
「オレに指図するからこんなことになんだよ!お前が!俺に!着いてくるんだ!」
「……どっちでも良くない?」
良くない!とでかい声で言われ、耳がキーンとなった。こんな小柄な身体のどこにそんな声を隠し持っているというのだ。
そんな事だけの為に脛を蹴られた事を根に持ちながら、ボクとヤンキー赤ずきんさんは部屋の中の探索を始めた。




