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「また難しいカオして。そのチカって子は司ちゃんのなんなんでありんす? いいひとなんでありんすか?」
すねた口調でチカが迫る。
「ああ、えっと幼なじみっていうか」
いや、幼なじみ以外のなんでもないんだけど。
これまでとは異なる気迫にオレは無意識に後ずさった。
「あちきとチカって子と、どっちが大事なんでありんす?」
オレが後退した分距離を詰められる。
白粉の匂いが一気に強くなった。
どんどんと鳴ってる花火と共鳴して心臓がはねまくっていた。
真っ白な視界の中に黒い睫毛が躍っている。
唇にはやわらかい、マシュマロみたいな感触があった。
漆黒に広がった火花が散って零れるみたいに、鼓動が全身に浸食していく。
「あ、紅がついたでありんす」
悪戯っぽく笑うとチカは小指でオレの唇をスッと撫でた。
その小指を自分の口元に当て、怪しく微笑む。
白い小指から覗く赤い筋に、オレは目が離せなかった。
「ああ、残りはこの花火でありんすね」
脳内の熱が上昇し続けるオレを無視してチカは線香花火を持つ。
「不思議でありんす。人間のものとは縁ない思ってたでありんすが何やらなつかしいでありんす」
二本のこよりの下でパチパチと菊の花を咲かせて線香花火が輝く。
暗闇にわずかな明かりがぼぅと、白塗りの顔と鮮烈な赤色でふちどった目元とくちびるを映し出した。いやに色っぽい。
ごくり、と生唾を飲みこんだ。




