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「あっあれじゃね?」
サクが指を差した。
暗闇の奥にぼんやりと朱塗りの鳥居が浮かびあがっている。
「よぉしっ!」
一番に駆けだしたサクを追いかけオレとマサノリも鳥居めがけて走った。
近寄ると鶴亀堂の裏にあるものと色違いに見えた。
「案外簡単にたどりつけたなぁ」
サクが物足りなそうに眺める。
「骨子さんと氷子さんのお陰でしょ」
「はいはい。物の怪女子キラー様様。善は急げっと」
マサノリの主張を流してサクは鳥居に足を踏みいれた。
――が。
「うわあっ!」
弾力のあるクッションにぶつかったみたいに跳ねかえされ、地面に叩きつけられた。
「……なんでだよ? いってぇ」
「だいじょうぶか? サク」
「おお、我が友よ……。だいじょう、ぶだけど、ケツいってー」
手を貸すと光の申し子になる元気は少しあるらしい。
「見つけるのは簡単でもくぐるのは難しそうだね」
マサノリが指先を鳥居に近づけると今のサクのように跳ねかえされた。
「ヤシチ」
オレの声に反応した三匹がチカを地面に降ろす。
「今度はその鳥居から、あちきを廓まで飛ばすつもりでありんすか?」
一連の流れを見ていたチカが、じろりと睨んできた。
「子供の悪ふざけだと思ってください」
苦しまぎれの言いわけにチカは、ため息をつく。
それでも横に歩みでてくれた。
「先に行きます」
息を吸いこんで足を踏みだすも、オレもサクと同じ結果になった。
下が地面なだけに細かい砂利も腕にこすれて痛い。
「あちきの番でありんすね」
下駄底で地面をすり、チカが鳥居へと進む。
万が一跳ねかえされてもいいように背後ではヤシチたちがスタンバイしていた。
「あいつら、おれらとチカ先輩贔屓しすぎじゃんよ」
「チカ先輩になついているからね」
げっそりするサクにマサノリが返す。
「……行きどまりでありんす」
ふとチカは足を止めた。




