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「で、どうやるんでありんす?」
「待ってください。今やりますから」
チカにせがまれ、フィルターやらエフェクトを呼びだした。
『ここはもっと明るくするでしょ!』
『ほらほら。このスタンプ可愛い!』
自撮り加工に夢中になっていた彼女の姿が走馬燈になる。
本当に少し前の日常だったのに。
やけに遠く懐かしく感じて目頭が熱くなった。
「えっ?」
不意に目尻に何かが当てられる。
「泣いてるでありんすか?」
チカの白い手には懐紙があった。
わずかに下がった眉毛が心配しているのを物語っている。
「ちょっと目が染みただけです」
強がりながらオレは指先を動かした。
『「年下のくせに背伸びするんじゃないの」』
《《チカの声》》が聞こえた気がして彼女の方をふり向く。
「また睨んでるでありんすか?」
気のせいか。
がっかりしつつ指定された機能で、どんどん写真を盛った。
「すごいでありんす。生き写しできるうえに、飾りまで書けるんでありんすなぁ」
(疲れた)
きゃっきゃしてるチカの横でオレはぐったりだ。
女子って注文多すぎだろ。
マサノリのやつ、よくあんな大勢の女子を相手にできるよな、と感心して彼のいる方向を見れば既に解散していて骸骨女と雪女と談笑している。
「あいつ姉ちゃんが五人いるとか言ってたな」
待ちくたびれたサクが気だるそうに補足した。
サカキはとっくに寝ていてサクのマフラー状態だった。




