表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

78/129

2

「あちきは廓の花魁でありんす。気安く触らないでくんなまし」


 手を差しだすも、ぱしんと叩かれた。


 チカは、つんとそっぽを向いてしまう。


 睨んでると誤解されたままらしく印象は最悪のようだ。


『ぴい』


 ヤシチが心配そうに彼女の周りを飛ぶ。


「かまいたちでありんすか。あんまり近寄らないでくんなまし。そのカマで肌に傷がついたら困るでありんす」


 しょぼん、としたヤシチはよろよろとオレの頭に乗っかった。


「だいじょうぶだって。おまえらのことも思いだすから」


 さすがに、かわいそうになってヤシチを撫でてやった。


「そのかまいたち。おにいさんの持ち物でありんすか?」


「どちらかと言えばナヲさんが可愛がってたんですよ」


 なぜだか今のチカには敬語になってしまう。


「寝言は寝てから言うでありんす。こんなものをあちきが飼うわけないでありんす」と彼女はますます機嫌を損ねた。


 あんなに、もふりまくってたのに落差が凄まじい。


 元々強引だったけど、この気位の高さにはうんざりしてくる。


(にしても、ここにいたら体がもたないってなんだよ)


 実際に身に染みているけれど、改めて認識することで余計に気が重くなった。


『おやおや御新造さんだよ』


『若い人間までいる』


『花魁を連れているなんて人間は羽振りがいいんだね』


 ほぼ骨だけのぼろぼろな唐傘、弦が切れまくってトウモロコシの髭状態の琴、穴が開いてたりヒビが入ってる茶釜を着た狸が跳ねながら通り過ぎていく。


 物の怪の世界に来てまで珍獣扱いかよ。


 既視感が半端ない。


『見てごらんよ。あの花魁まだ人間だよ』


『でも、そのうちコッチに来ちまうよ。人間は欲の塊だからね』


 くすくすと笑い声が聞こえた。


 少し離れた建物の角から着物姿の骸骨と見るからに雪女な物の怪が覗いている。


 口さがないのは物の怪もいっしょか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ