10
「つってもさぁ、どうすりゃいいんだ?」
サクが通常モードで白旗をふる。
意気込んで作戦会議を始めたものの、開始数秒でオレたちは行きづまってしまった。
「盆明けまでに出る必要があるけど、チカ先輩が元に戻らないと出られないからね」
しかも身請けと水揚げされたら即ゲームオーバー。
(これって完全に詰んでないか?)
一致団結したはいいけれど、解決策は何もない。
当の本人はお行儀よく十枚重ねの座布団に正座している。
人形みたいに、ぴくりとも動かない。
徐々にそんな彼女にも慣れてきて、様子をちらちら見ていると「何を睨んでいるんでありすか?」と眉毛をつりあげてきた。
「す、すみません」
思わず敬語で謝り、オレはサクとマサノリの方に向きなおった。
化粧のせいか余計に大人っぽく見えて、二十歳くらいにも感じてしまう。
「あっ! 時代劇とかでよくあるじゃん? 吉原で身請け~みたいな。それをオレたちでやればいいんじゃん?」
閃いたサクが提案する。
「理屈の上では通るけど」
マサノリが口元に指を当てた。
物の怪相手では、まず人間の理屈は通用しないと考えていい。
動物よりも本能で行動する質の悪い連中である。
「建物内の様子を探るためにも楼主に話してみないか?」
脱出可能だとしてもオレたちはこの世界のことに疎い。
周囲の状況を把握する必要がある。
「えーと……。あの、ナヲさん?」
オレがぎこちなくたずねると、貼りつけた笑顔で返された。
「なんでありんす? 目つきの悪いおにいさん」
(なんか、口うるさいのは変わらなくないか?)
廓の者としての素養があるなら、偉いヤツの居場所も知っているはず。
「楼主ってどこにいますか?」




