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「だめだ。チカ先輩と話してる気がしない」
畳の上に大の字になったサクからギブアップの声があがる。
「この髪の毛がふわふわしたおにいさんは、さっきから頓珍漢なことばかり。面白い御伽話でありんすなぁ」
チカが鈴が鳴るような声で笑う。
いつもハキハキしゃべってたのに。
チカなのに、チカじゃない。
改めて突きつけられた現実に体に鉄柱でも刺さった気分だ。
「あー。あと身請けと水揚げになったら盆明け関係なく一発アウトだかんな」
「は⁉」
シロガネがまたもや不穏なことをさらりと言いはなった。
「エロガキが、んな事もわっかんねーのか?」
耳を小指でほじりながら嘲笑する。
「みずあげって、さっき飛びだしてきたでっかい魚のこと?」
寝たままのサクが疑問符を顔に貼りつけている。
「み、みずあげって」
一方オレの脳内には保健体育の教科書の中身やら人間の三大欲求のひとつやらが散乱していた。
自分だってそういう年頃には当てはまるし、興味がゼロかと言ったらそうは言いきれないし、たぶんそっち系のことだ……などなどくだらない言いわけのような結論のようなことに思考が移動する。
違っていてほしいと思うけど、どうやっても意味するのはひとつしかない。
この状況からニュアンス的には……。




