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「今日ってこっちも祭りなのかよ」
「ここはいつもこんなもんだ。あの花火も祭囃子も全部物の怪さ」
だから間が開かないのか。
花火のあがる音も祭囃子も途切れることがない。
シロガネの説明にオレは夜空を照らす鮮やかな光を見つめた。
「怪火の進化版みたいなヤツですか」
「たぶんな」
マサノリの問いかけにもシロガネは気のない返事だ。
仲居が退室し、オレたち四人だけになる。
案内された座敷は、襖を開けて三部屋分をひとつにした大宴会場みたいな場所だった。
さっき自分たちがいた座敷も豪華だったけれど、ここはそれを更に派手にした感じだ。
全体が金色と朱色をベースにしていて目がちかちかする。
襖や天井に鬼と龍と虎、睡蓮が描かれている。
寺の本堂を俗っぽくした感じだ。
そして、やっぱり物の怪の気配が濃い。
「クソガキ。あんま襖に近づくなよ。中から狙ってっからな」
シロガネの言葉に思わず襖に目をやる。
(生きてる?)
たまたま目の合った襖の龍がぎろりと睨んできたのだ。
髭もゆらしているし、唸り声まで聞こえる。
どうやら絵までもが物の怪のようである。
そんな中わずかに知っている気配が奥の方でちいさく渦巻いていた。
「これ、ヤシチたちの妖気か?」
座敷の一番奥に床の間があり、若い女性が正座している。
遠くて顔ははっきりしないが、廊下ですれ違った女性たちよりもかなり若い。
その周りにはかまいたちが三匹ぴったりと貼りついている。
(まさか)
嫌な答えを直感した。
奥へと歩みを進め距離が縮まるごとに女性の姿と答えがはっきりと重なる。
チカだった。
花魁姿の。
「なっなんでチカが」
こんなところで花魁姿にさせられているなんて。
一気に頭に血が上ってオレはチカの腕を引っ張ってここから出ようとしていた。
「何をするでありんすか! 無粋な。どこのおにいさんでありんす?」
背後から飛び出したのは廓言葉だった。




