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3

「続きは本人を交えて話してやる」


 重しがなくなり、ぶはっと顔をあげて空気を吸い込んだ。


 たった今まで人を踏んづけていた当のクソジジイは、もう廊下へと出ていた。


「マジでチカ先輩ここにいんのかよ?」


「ボクたちはこの世界に明るくないし。シロガネさんの話を信じるしかなさそうだよね」


 結論は出ているものの、ふたりもオレと同感らしい。


 とは言っても意味不明の世界で頼れるのはアイツだけだ。


「一応後ついていってみよう」

  



           **  *




「ごめん」


 廊下に出てみると物の怪の妖気がとにかく濃かった。


 例えるなら、香水のキツイ人がエレベーターに、ぎゅう詰めになってる感じだ。


「司は座敷で寝かしといたほうが良くね?」


「サク。ひとりにしておいても危険だよ」


「でも、さっきだって全部物の怪が片づけてくれたよな。しかも酔い止めとかまで出してくれたし」


 マサノリとサクの肩を借りながら歩くオレは半分死んでいた。


 オレは座敷から一歩出た途端吐いてしまったのだ。


 アレルギー源の本拠地にいるのだから当然ではある。


 なんだか高そうな場所だし、さすがに汚物処理となれば弁償とかになると思って血の気も引いた。


 しかし、駆けつけてきた仲居らしき物の怪は手際よく片づけると『お連れ様のお具合いだいじょうぶですか?』と声をかけてきて『こちらをお飲みください』と薬を渡してきた。


『シロガネ様はこの先のお座敷におります』


 オレたちの前を歩く別の仲居がふり向く。


「こうやって案内だってしてくれてるし」


「表向きは好意的だって腹の中は分からない」


 楽観的になるサクとは反対にマサノリは冷ややかだ。


『アラ。可愛い人間様の男の子たちね』


『人間様が三人も!』


『まあ。さすがシロガネさんでありんすなぁ』


 すれ違う廓の女性らしき物の怪も、珍獣でも見るような反応だった。


 外見は人間になっているけれど、白粉おしろいの匂いに混ざって物の怪の妖気を発していた。


 真っ赤な口紅が人間を食った後の血のりみたいだ。


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