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「あの乳臭いガキはここにいる」
いきなり目の前に現れたゴールにテンションが上がらずにはいられない。
予想外の宣言に「ええっ⁉」とサクとマサノリも声をあげる。
「だったら、さっさとそこに案内し」
ふがふが言いながらシロガネの足首をつかんで、どかそうとしたら今度は頭を踏みつけられた。
「無駄足を踏む前にオレの話を聞け」
「とりあえず人を踏みつけにするのやめろ」
顔だけは横を向いていてなんとか呼吸は確保できる。
ほぼ見えないけど必死にシロガネを睨みつけた。
(いや、でもコイツの言ってること信用していいのか? なんでチカがここにいるって分かるんだよ?)
布団にめり込む頭に色々な疑惑の泡が浮かんでは割れる。
感情の起伏につられて思考も無駄に多くなる。
「いいか。とっくに分かってんだろうが、おまえらの住む世界とここがつながってられんのは、盆明けいっぱいだ。こっから出るには、その期間を逃すと一生出られねぇ」
「物の怪は盆明け過ぎても、次の年を待てば還れるのにか?」
「アホ。人間と物の怪の理を同等と考えんじゃねぇ。ここは人ならざるものの跋扈する世界だぞ」
シロガネはサクの言い分を一蹴した。
「じゃあっ……! てめぇはなんで自由に行ききしてんだ、ぐえっぶっ⁉」
足の下から、うめけば、また布団に顔が埋まり、背中にどすんっと何かが乗っかった。
「オレを誰だと思ってんだよクソガキが」
(殺す気かッ!)
鼻と口がつぶれる。
これは重さからして、シロガネのヤツがオレに腰かけていて、手で後頭部を押さえつけている。
「要は盆明けまでに出ればいいんですよね?」
「出られればな」
マサノリにもシロガネは含みのある答え方をした。




