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「おまえらの住む人間世界と物の怪の棲み処であるイッテンシカイ。なんもねぇ時はただ同じ空間でつかず離れず浮いているだけだ。この泡みてぇにな」


 かざされたラムネの瓶には無数の泡が上から下に昇っている。


「それがお盆の間だけつながって物の怪が、人間世界にやってくるというわけですね」


 マサノリが確認するように聞き返した。


「ああ。本来、泡がぶつかることはない。割れない。だが、なんらかの具合でぶつかり融合する。その境目がなくなるいっときが、おまえらの世界でいう盆の間だ」


 もつれる思考で、どうにかギリギリに話を咀嚼する。


 ここまでは以前シロガネが言っていた物の怪がうろつく理由の答え合わせ。


 神隠しのこととは無関係じゃないか。


「だけどよ。神隠しは今まで一度も起きてないじゃん?」


 オレの疑問をサクが代弁した。


「人間世界に来た物の怪はどうしてる?」


「んーと。あっちこっちすっ飛びまわって、とりあえず遊んでるよな」


 シロガネの質問にサクはこれまでの捕獲作業を思いだしながら答える。


 これも最初の頃聞いた話だ。


 物の怪が自主的に元の世界へと還らないからと。


「そのためにボクたちで物の怪を捕獲して、お盆の四日間で還して……」


 オレが考えているのと同時にマサノリもつぶやく。


 この四日間を逃すと、また来年まで待つしかないから。


 でも、いくら捕まえても次から次に新しい物の怪が入ってくる。


 無尽蔵なのかと思うくらいに。


「居座る数は増える一方だ。じゃあ出ていかれたほうはどうなる?」


 煙管を吹かしシロガネが口端を上げる。


 その言葉に人口の偏りを想起させられた。


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