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「司?」
「……チカが戻ってこないんだ。鳥居の向こうにタオルが落ちたって。手を伸ばせば取れるって」
そう説明しながら“もしかしたら”なんて。
浅はかな希望を持っても途切れたままのトーク画面しかない。
挙動不審のマサノリが眉をひそめ、オレのスマホを取った。
「チカ先輩からの返信がない。もう十分経ってるのに」
「ええっ?」
画面を見せられたサクも驚く。
「神隠しだ」
シロガネの声が石畳に、ごとりと落ちた。
信じたくない。
だってイッテンシカイの神隠しは、ただの迷信だろ?
都市伝説だろ?
往生際が悪すぎる主張を脳内で反芻する。
ガタつく視界の中、シロガネは淡々と語った。




