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「司。この子たちどうしたんだろ」
賛美期の様子にチカが不安げな声を出す。
「なんか、変な気配する」
いつもの雰囲気で判断しずらかったけれど、少し違和感を覚えた。
毎年盆入りになると鳥居がイッテンシカイと繋がるせいで物の怪の妖気が強くなる。
どろどろしてて、へどろみたいな感じだからすぐに分かる。
でも、今感じた気配は一見無害そうだった。
「大体掃き終わったし。よしよし、戻ろうか」
怯えるヤシチたちを撫でてチカが踵を返す。
「司も行くよ」
「ああ」
気になったものの長居したくないオレは鳥居に背を向けた。
店先に戻るとサクとマサノリの姿はなく、代わりに一枚の落書きがベンチに貼ってあった。
「相合傘だって。わたしと司じゃ姉と弟だよね」
破ったノートにハートの傘とその下にチカとオレの名前が書かれている。
笑うチカは落書きを剥すとヤシチたちの駄菓子を取りに店の中に入った。
(やっぱり弟かよ)
予想通りというか、気が抜ける。
がっかりのほうが圧倒的か。
そうじゃなかったら保健室で、あんなふうにスルーはできないよな。
「万年不登校の虚弱男子が、こんな真昼間に出歩いていいのか?」
上から目線の台詞がオレに追い打ちをかけた。




