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どこもなんともない。
「ヤシチ。だめでしょ!」
チカが一匹の頭を小突く。
「司も、ひどいこと言うからヤシチが怒ったのよ」
(今のこいつがやったのか)
傷を治したのはサカキかゲンロク。……どっちがどっちだ。
残り二匹は、きょとんとした顔で、しらばっくれている。
三匹は見た目が、ほぼほぼいっしょなので見分けがつかない。
(でも、こいつだけは分る)
敵対心丸出しの顔で、一匹がこちらを見上げてくる。
「この三匹の中でボスはヤシチなんだね」
マサノリがスマホカメラを向けると、どや顔でレンズに映り込んだ。
「ヤシチ。かわいいよ~!」
ほめるチカに気を良くしたのかヤシチは次々とポーズを決める。
(オレにだけ態度悪くないか?)
顔が引きつるのを感じながら、オレはヤシチに目をやった。
「いっだっ……」
今度は、どすっと重量のある衝撃が額に直撃する。
なんでかヤシチから頭突きを喰らっていた。




