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「災難だったなー」
「おつかれ。司」
「おまえら少しは友人を助けるって意識はないのかよ」
一足先にベンチで飲み食いするサクとマサノリにぼやく。
「おれ今月ピンチだし」
「金の切れ目が縁の切れ目だよ」
しれっと答えるふたりの隣りに座って、オレもラムネを開栓した。
ぽんっ!
軽い破裂音と同時にビー玉が炭酸の海に落ちる。
しゅー、と一気に湧き上がる大量の泡がおさまるまで手のひらで蓋をして待つ。
――泡。
そういや、クソジジイが昨日の夜言ってたな。
『せいぜい泡沫がぶつからねぇことを祈るこったな』
ぼんやりと狭い瓶の中で浮かぶ細かい泡粒を眺めていると
「なぁなぁ。保健室でチカ先輩とどうなったんだよ」
「は?」
すぐ横にいるサクがにやにやして身を乗り出してきた。
一瞬何のことを言われたか考えつかなかった。
「とうとう司も幼なじみ以上恋人未満から抜け出せそう?」
マサノリの、とどめの言葉で、あのやわらかい感触がありありと思い出される。
「なんでもないって」
すっかり泡が大人しくなったラムネを飲んだ。
炭酸が喉をじりじりと刺すように流れる。
「姫が分け隔てなく領民に優しさを分け与えているからといって油断していては、いつか奪われてしまうぞ」
光の使者モードのサクが駄菓子のカツ片手に熱弁する。
その言い回しができるなら、せめて国語の赤点は回避できるだろと毎回ツッコみたくなる。
「チカ先輩隠れファンが多いからね。生徒会の連中とか」
マサノリが楊枝でピンク色の大根漬けを齧った。




