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「あっつぅ」


 そう発した言葉から蒸発しそうだ。


 目玉焼きが焼けそうなアスファルトの上を歩く。


 水道で濡らしたフェイスタオルを頭にかけているけど、焼け石に水だ。


 かげろうの中に白いモヤが混ざっているけど無視だ無視。


「あれ、幽霊じゃないの?」


(コイツは地雷踏むのが趣味なのかよ!)


 隣を歩くチカが呑気な声を出す。


 教室と同様、かまいたち三匹を頭と肩に乗せたままだ。


 日傘を差す意味なくないか?


 せっかく日差しを遮っても、こんな毛皮がくっついていたら暑いだろ。


「相手にするなよ。話なんか通じないんだから」


「元・人間なのに話通じないって変な話だよね」


 オレの話を聞いているんだかいないんだか。


 心臓に毛どころか針が生えてるとしか思えない。


 足元に違和感を覚えて目をやると似たようなもやが漂っている。


 存在感薄いのに気配だけは一人前で臭いも強い。


(さっき倒れたばっかなのに)


 不快感を先取りして眩暈がする。


 すると、別の何かが、ひゅっと足元の靄にぶつかった。


 驚いたらしく、靄は跳ねるよう揺らぐと、どこかに消えた。


 よく見ると、ぶつかったのは、チカになついている、かまいたちの一匹だ。


「ありがと。ヤシチ」


「ヤシチ?」


 そう呼ばれた、かまいたちはチカの肩に戻り、駄菓子をもらっている。


「この子の名前よ。いい子ねー。また司に変なのが来たら追い払ってね」


 ほめられたヤシチは、ぴぃと元気な返事をした。 


「こっちの子はサカキ。こっちの子はゲンロク」


 聞いてもいないのにチカはかまいたちの名前を披露してくる。


 昨日捕獲したかまいたちは完全にペット化していた。


「よしよし。みんなかわいいねー。お店に着いたら、おかわりあげるからね」


 手持ちの駄菓子が品切れになったらしい。


「勝手に餌付けするなよ。どのみち明日還すんだから」


『ぴぃぴぃぴぃ!』


 オレの言ったことが気に入らないのか、ヤシチたちが大合唱する。


「みんな静かに。来年また来ればいいじゃない」


 だからそうなると困るんだって。


 チカの一言でヤシチたちはすぐに鳴き止んだ。


 調子いいな、こいつら。


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