18
「あっつぅ」
そう発した言葉から蒸発しそうだ。
目玉焼きが焼けそうなアスファルトの上を歩く。
水道で濡らしたフェイスタオルを頭にかけているけど、焼け石に水だ。
かげろうの中に白いモヤが混ざっているけど無視だ無視。
「あれ、幽霊じゃないの?」
(コイツは地雷踏むのが趣味なのかよ!)
隣を歩くチカが呑気な声を出す。
教室と同様、かまいたち三匹を頭と肩に乗せたままだ。
日傘を差す意味なくないか?
せっかく日差しを遮っても、こんな毛皮がくっついていたら暑いだろ。
「相手にするなよ。話なんか通じないんだから」
「元・人間なのに話通じないって変な話だよね」
オレの話を聞いているんだかいないんだか。
心臓に毛どころか針が生えてるとしか思えない。
足元に違和感を覚えて目をやると似たような靄が漂っている。
存在感薄いのに気配だけは一人前で臭いも強い。
(さっき倒れたばっかなのに)
不快感を先取りして眩暈がする。
すると、別の何かが、ひゅっと足元の靄にぶつかった。
驚いたらしく、靄は跳ねるよう揺らぐと、どこかに消えた。
よく見ると、ぶつかったのは、チカになついている、かまいたちの一匹だ。
「ありがと。ヤシチ」
「ヤシチ?」
そう呼ばれた、かまいたちはチカの肩に戻り、駄菓子をもらっている。
「この子の名前よ。いい子ねー。また司に変なのが来たら追い払ってね」
ほめられたヤシチは、ぴぃと元気な返事をした。
「こっちの子はサカキ。こっちの子はゲンロク」
聞いてもいないのにチカはかまいたちの名前を披露してくる。
昨日捕獲したかまいたちは完全にペット化していた。
「よしよし。みんなかわいいねー。お店に着いたら、おかわりあげるからね」
手持ちの駄菓子が品切れになったらしい。
「勝手に餌付けするなよ。どのみち明日還すんだから」
『ぴぃぴぃぴぃ!』
オレの言ったことが気に入らないのか、ヤシチたちが大合唱する。
「みんな静かに。来年また来ればいいじゃない」
だからそうなると困るんだって。
チカの一言でヤシチたちはすぐに鳴き止んだ。
調子いいな、こいつら。




