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「じゃあ鳥居をくぐりゃあいいだろ」
シロガネは、にやにやしながら牙を覗かせる。
「生憎、ボクは司と違って物の怪の気配に疎いので危険を察知する能力が劣っています。好奇心だけで中途半端に手を出してはただの野次馬です」
「だとよ。昨日はしっかり気配だけで倒れたもんな」
クソジジイの清々しい声に何も言い返せない。
「マサノリって変なとこ慎重だよなー」とサクが感心したような飽きれたような表情をする。
この体質に悩まされている自分にとっては、オカルトの探求が浪漫とはどうしても思えない。
それが日常だからか。
物の怪なんていない世界のほうがいい。
「ま、神隠し云々を知ったところで無駄足かもしれねぇしな。今年も雑魚どもを返せるようにせいぜい祈っておけ」
「じゃ、オレたちは戻ります。司のことお願いしますね、チカ先輩」
マサノリが椅子から立ちあがる。
シロガネのはっきりしない答えに、これ以上何を聞いても無駄と思ったようだ。
「じゃな。司」
続けてサクも席を立ち、ふたりはオレに目くばせしてドア出ていく。
(余計なお世話だっての)
ドアの閉まる音で、しん、と空間が静まりかえる。
「おばさん心配してたよ」
チカの言葉にオレは顔をしかめた。
「うそつけ」
母が息子の心配をしていないというのがうそ、なのではない。




