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「よかったじゃねぇか。ぼっち記録更新が止まってよ」


「てめえが言うなクソジジイ」


 知らぬ間にシロガネが隣りのベッドで肘枕で寝そべっている。


「オレの血が一滴でも入ってんなら、うろついてる雑魚なんざ楽勝で一網打尽なはずだけどよぉ」


 このクソジジイは『これも修行の一環だ』とか、理由をこじつけてオレに物の怪の捕獲を強制した。


 結果、物の怪アレルギーのオレは物の怪から返り討ちにあい、体調が余計に悪化しただけだった。


 だからこのふたりを巻き込んだんだろう。


「司。おばさんに連絡いれておいたよ」


 ドアをが開ける音がして鞄をふたつ手にしたチカが入ってきた。


 教室の時と同じくかまいたちを頭と肩に乗っけている。


「シロガネさん。椅子があるんだから、そっちに座ってよ」


 ベッドを無断で使用するシロガネを見とがめた。


「やかましいな。ほんと、ばばあそっくり」


「ウチのおばあちゃんが、ばばあなら、シロガネさんはじいじいじいじいじいじいじいじい……」


 じいじい言いすぎて途中から何を言っているのか、言葉の区切りが不明になる。


 入学式の日。


 保健室のドアを開けたチカは、シロガネの妖術の巻き添えを食って物の怪が見えるようになった。


 以来捕獲作業に参加している。


「……じいさんよ!」


 チカが言い終わる頃にはシロガネは狸寝入りをしていた。


「狐が狸寝入りってどうなのよ」とチカは横目で流す。


「さっきのって人形だったよね?」


 教室で見たおかっぱ人形のことだ。


 こちらに向き直ったチカは怯えるような好奇心に満ちたような表情を見せる。


「金縛りで同じようなのを見たって書き込みもありますしね。あれもイッテンシカイからやってきたものなんですか?」


「いんや。ありゃ人形の中身だな」


 マサノリの問いかけにシロガネが目を閉じたまま答える。


「やっぱり古い人形って怖い」


 チカが体を震わせ腕をさすった。


「あっちにも付喪神とかわんさかいるから、似たようなのが来るかもな」


 口端を上げるシロガネにチカがびくつく。


 お化けなんてないない精神の彼女は、昔からこの手の怪談話が大の苦手だ。


 恐怖に恐れおののくのを心配してか、かまいたちがすりすりしている。


「ありがとう。みんなかわいい」


(前脚にカマがついてる動物だって充分怖いっての)


 もふもふに慰められチカの顔がふにゃっとなった。


 本当に女子の思考って分からない。


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