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「あの時はマジでびっくりしたよなぁ。まさか妖怪狐が司のひいじいちゃんだなんてさ」


「神隠しにもあってないなんて。オレの受験に費やした時間を返してほしいよ」


 聞こえてくるふたりの声に頭が徐々にはっきりしてきた。


 飛び交う声をたよりに思考を動かす。


「司。よかった気がついた」


「傷は浅いぞ! 気をしっかりと持つんだ」


 マサノリが安堵の表情を浮かべ、サクが祈るように手を握ってきた。


(ああ、夢見てたのか)


 数秒前まで現実と思っていた景色が急速に遠ざかる。


 薄目のまま何度か瞬いて怠い瞼を持ちあげた。


 オレはベッドに寝かされていて、その横にサクとマサノリが座っている。


 消毒液の匂いが鼻に沁みる。


「悪い。また運んでもらって」


 目の前にあった光景が一年前とダブり過ぎて妙な感じだ。


 新入生の中でオレは珍獣扱いだった。


 それだって小学校から、ずっと同じだ。


 違ったのは人生初の友達ができたことである。

 

 入学式で倒れたオレを保健室に運んでくれたふたりは、クソジジイに妖術をかけられ物の怪が見えるようになってしまった。


『なんか魔物討伐みたいでよくね?』


『イッテンシカイのことについて知りたかったから丁度よかったよ』


 事情を話すとふたりは物の怪の捕獲に乗り気になってくれた。



 それ以来、サクとマサノリには、いつも助けてもらっている。


「おかげでイッテンシカイの存在自体は事実って分かったけど」


 スポーツドリンクを飲むサクの横では、マサノリがスマホを見ていた。


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