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「知ってる? あの社って先輩ん家の鳥居の話」
「ああ、ばあさんがやってる駄菓子屋の裏にあるヤツ」
「神隠しの事件現場」
体育館の檀上で生徒会長の挨拶を述べるチカは注目の的だ。
「あそこにいるのが神隠し被害者のひ孫だって」「よく加害者と同じ学校入る気になるよね」
ああ、うるさい。
神隠しというタグ付けで今度はオレを遠巻きに見ているする。
数十年前の話をぐだぐだと。
(入学式早々これかよ)
心機一転のつもりで来たのに元の木阿弥だ。
「不登校なんでしょ?」
「ぼっちオーラすご」
「超浮いてる」
物の怪アレルギーのせいで小学校、中学校ともにほとんど通えなかった。
休みまくってたせいでオレの学生生活はぼっち一色だ。
(なんかふらふらする)
人混みは苦手だ。
今みたいに大勢の人間が集まる空間も。
マイクを通した声以外は誰もしゃべっていないのに、ざわざわと雑音が耳につく。
物の怪がうろついているせいだ。
下手すると人間よりも多いんじゃないか。
壇上の下に立っている校長を見れば、たくさんの黒い影が頭や肩にべったりへばりついている。
人の良さそうな表情を作っているけど、あれは相当恨み買ってそうだ。
あれはたぶん過去に就任してきた学校の生徒だろう。
(視えないって幸せだよな)
ついでに図太いって羨ましい。
『このにんげん、しろがねとおんなじ匂いがすんぞ』
突然、どしっと肩と背中に重みを感じた。




