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3

 教室のドアのところに、おかっぱの女の子が立っている。


 女の子というより人形といったほうがいいサイズだ。


 着物を着ていて足元は、ぼやけていた。


 顔も手もこれ以上ないくらい真っ黒い。


(やばい)


 あわてて黒板へと目を戻した時には、おかっぱ人形がオレの前に浮いていた。


 全身から炭のような妖気を出している。


「どうした雨宮。早くしろ」


「あっえっと」


 教師に催促され答えを言おうとした瞬間、声が聞こえた。


 おかっぱ人形の声だ。


 意識を向けたら、また倒れる。


 無視してもう一度答えを言おうとした。


「ひっ」


 妖気が更に濃くなり、視界は黒一色になった。


『どうしてむしするの』


 声のような音のようなノイズだらけの言葉が頭に突き刺さる。


「うっ」



 キイーンと激しい耳鳴りに襲われた。


『どうしてむしするのどうしてむしするのどうしてむしするの』


「雨宮。聞いているのか?」


 両方の声がぐちゃぐちゃと混ざる。


 聞こえてるし、ちゃんと聞いてる。


 心臓の音が、ドンドンと太鼓みたいに破裂した。


(気持ち悪い)


 割れるような頭痛に思わず耳をふさいだ。



『どうしてむしするのどうしてむしするのどうしてむしするのどうしてむしするのどうしてむしするのどうしてむしするのどうしてむしするのどうしてむしするの――』


「雨宮!」



 人形の叫びと教師の怒鳴り声が交互に襲う。


 体中を飲み込む振動にオレは意識を失った。


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