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「わっ!」


 いきなりかまいたちの顔がどアップになり、オレは椅子から落ちていた。


 思いっきり打った尻をさすっていると、かまいたちの一匹が目をつり上げてぴぃぴぃ威嚇している。


「うるさいぞ雨宮」


 教師の文句まで飛んできて泣きっ面に蜂だ。


 まだじんじんする尻を自分で労わりつつ椅子に座った。


「最近のガキは面倒だな」


 額から溢れる汗を冷感タオルで拭いていれば、間延びしたイラつく声が降ってきた。


「うるせぇよ。クソジジイ」


「雨宮。先生の定年はもっと先だぞ」


 顔を上げて悪態をつけば、不機嫌顔の教師と目が合った。


 まだまだ現役真っ只中なだけあって耳もしっかりしているようだ。


(あのクソジジイ)


 悪態をつくはずだった本来の相手は、教師の背後で煙管を吹かしている。


「なんだ煙いな」と首を傾げる教師にシロガネはふーっと息を吹きかけた。


「だっ、だれか煙草でもすっているんじゃないだろうな」


「オレたち未成年です」


 涙目で咳き込む教師にマサノリが、しれっと回答する。


 更にチカが煙草の形をした駄菓子を取り出した。


「形そっくりの駄菓子ならありますよ。……先生、後ろ気をほうがいいですよ」


「社。学校に菓子を持ってくるんじゃないっ……なんだ? 今度はチョークの粉臭い」


 チカの忠告を聞き流し黒板へ向き直った教師は固まる。


 今さっき書いた板書が消えているではないか。


 教師が黒板に背中を向けている間に、煙草を吸っていた張本人が尻尾で消してしまったのだ。


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