表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灯との遭遇  作者: 湯藤海人
3/4

地獄へのパスポート

さて。どうしたものか。会社がある駅には他の路線を使えば難なく行くことができる。しかし、なぜか私はこの死んでいる少年(断定ではあるが)に興味があった。私は人生に嫌気がさすことはあるが、自殺したいと思うことはなかった。やはり、思春期だと自殺したいと思ってしまうものなのだろうか。その後ろで五十代と思われる女二人が喋っていたことが耳に入った。

「馬鹿だねぇ。人生これからだというのに」


「これで運転見合わせなんだものいい迷惑よ」


「損害賠償とかすごいんでしょ?親にどれだけ迷惑をかけるのかしら」

私はこの二人は馬鹿だと思った。誰が死んだ後のことを考えるのであろうか。自分が死んだ後の世界なんてどうでもいいのである。一部の死んだ後を考える人間は極度の偽善者である。私はやはり、この少年が自殺を考えるに至るまで、何があったのかを知りたくなった。しかし、この少年の顔も名前も何も知らないのだ。私が唯一知っているのは、ぐちゃぐちゃに飛び立った脳みそだけであった。知りたいがどうしようもない。会社に向かおう。その時だった。何かを踏んだ。下を見るとそこには青色の生徒手帳が落ちていた。私は神だの仏だのをごちゃごちゃ言う人間は馬鹿だと思っていたが、この時ばかりは、神からの贈り物だと思った。私は馬鹿の一員となったのだ。そしてこれは神からもらった、地獄へのパスポートであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ