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第33話

 前衛2人も、何度もビビる程の腰抜けでは無かった。

 護るべき者が居る。その事実が2人を突き動かした。


 その日の晩、前衛2人はこってり絞られたと共に、後半の活躍はしっかり評価を受けて報われた。


 そのお祝いに、今晩はツインの部屋のままなれど、種族で部屋を分けた。つまり、元夫婦と幼馴染みの部屋にしたのだ。


 まあ、翌朝の様子を見れば、どうなったのかは容易に予想が付く。


 朝湯等を浴びてから、朝食を摂る。


「さあ、しっかり鍛えるぞ!」


 そうけしかけて、魔獣の森へ向かう。


 3日目にして、ようやく鍛える成果が出始めた。

 いざとなったら、攻撃は後衛がしてくれる。

 そして、後衛に直接攻撃を受けさせる訳にはいかない!

 それは、妻の為であったり、最早、俺に許可を求めて結婚すると決めた幼馴染みの為であったりする。

 俺はアレだ。奴隷を買った者の責任を果たしているだけだ。


 そして、同じ頃に、ようやくこの町の魔獣素材の買い取りをしている設備も見付けた事で、儲けの分け前をくれてやることも出来るようになった。

 一日一人金貨一枚。その程度の儲けで、宿賃は俺が持っている。

 ナナさんは、気付いたらしく、それとなく確認を求めて来たので、暗に俺は伝えてある。


 そう、俺の儲けは度外視しているのだ。

 それは、金貨をコピペ出来てしまうせいでもあるが、皆のモチベーションの為に毎日金貨一枚与えているが、儲けに余裕がある時には、俺の懐に入っている。当然、儲けの足りない時には、俺がその分を持っている。

 コピペは、流石に〈ズルい(チート)〉とは思っているが、金の絶対量を増やしているのだ、責められる(いわ)れは無い。


 俺のやっているのは、アレだ。〈錬金術〉だ。金属以外も金にしているが、粒子の絶対量には手を加えていない、と、俺は判断している。

 恐らく、地面の土等が変換されている筈だ。

 まさか、空気が同体積の金に変換されているとまで、都合の良い予想はしていない。だが、『思い込み』の強さが、そこまで影響する程のものであるのならば、全くあり得ないとまでは思ってもいない。

 この世界は、『思い込み』の強さが影響を受ける世界だ。

 既に立証された法則でさえ、条件次第でその法則は成り立たない事もあり得る。時に、相反する現象が起き得る可能性すら含んで。


 この少子化の時代において、丙午(ひのえうま)という、特に少子化が起こる時を迎えようとしている。

 ソレは、一体どのような結果を迎えようとしているのか。

 恐らくは、『焼死(しょうし)』という結果を迎えるのであろうが、『少子(しょうし)』との音の重なりも、無関係ではあるまい。


 まあ良い。今の俺には関係無い。


 時々、無性に破滅願望が来るけれど、実際のところ、世界には滅ばないで欲しいんだよな。

 俺が死ぬのは、まあ、生きている限り仕方がない。

 でも、ソレと世界の破滅とは別問題だ。

 だって、自分の死後、自分がどうなるのかは全く分からないんだぜ?

 死後の世界を定義付けることは、誰にも許されない、最悪の罪だ。

 だけど、大抵の宗教は、その禁忌(きんき)を侵している。

 俺も、とある人の死後を決め付けてしまった経験がある。


 死後の世界位は、真実の自由に解き放たれるべきだとは思わないか?

 再び自分に戻る迄の、とてつもない時間を、真実の自由に。

 そりゃ、空位は翔べるレベルの自由が欲しい。


 生きている内が華だとは云うが、良くて一発屋の俺に、大した華など咲かせられない。

 いや、その思い込みを無くす所から始めないとならないが、負け犬でヘタレでうだつの上がらない運命を変えるのは、中々に骨だ。

 顎の骨なら折れた経験があるが、コレ以上に骨が折れるのは勘弁だ。


 というか、俺、呪われているから、『唯一の可能性』の他には、多分、成功の見込みは無く、しかも良くて一発屋の可能性しか無いとか、絶望的にツキが無いよな。


 というか、この『物語の世界』にも希望が持てないから、この『物語の世界』の終焉(しゅうえん)も近いのかもな。

 短い物語だったな。

 でも別に、他の物語の世界にも、希望を見出している訳じゃ無いんだぜ?

 希望を見出すまでの、繋ぎのようなものだな、この世界は。


 だから、せめて奴隷達には、美味い飯を食わせてやろうか。


 恐らくは魔獣の森。ココが、俺の死に場所だ。

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