第24話
奴隷商は、意外と小綺麗な店舗を構えていた。
「いらっしゃいませ」
だが店員は、一見の客だと見て、俺を軽視するような態度であった。
「ナナさん、どんな奴隷が良いか、考えはある?」
「あの!
………買った奴隷次第では、私は寵を受けられないのでしょうか?」
「いいや。そんなことは関係無いよ。
何なら、獣人にしておくかい?」
「はい!
………あ、いえ、あの………そうしていただけるとありがたいです」
「うん。
店員さん、獣人の奴隷を見せて。先ず、男から」
「かしこまりました」
慇懃無礼に近い対応を受け、用意された椅子に座りながら、男の獣人の奴隷を待つ。
すると、10名の奴隷を引き連れた先程の男がやって来た。
「まずは10名、ご覧になって下さい」
「はい。
奴隷に指示を出しても大丈夫かな?」
「………常識の範疇でなら」
「ああ、そう。ならば──
『跪け』!」
即座に3人、遅れて4人が跪く。
「立っている奴隷は買う気が無い。
7人を候補として残し、次は女性の方を連れてきていただきたい」
「は?しかし──」
「合わせて4人は買う予定だ。
まさか、逃げはしまい?」
「──少々、お待ちを」
7人を繋いだ紐を柱に結び、残る3人を連れて、店員は一度下がる。
そして、10人の女性獣人奴隷を引き連れて、再びやって来る。
「さて。先程の、即座に跪いた3人に問う。
この中に、パートナーとしても良いと思える女性は居るかな?近付いて肩に手を置いて。払われたら、素直に下がれ」
ココで、一番早くパートナーを決めたのは、狼獣人の男だった。他の2人は、別の相手を見定める。
「では、一番早くパートナーを決めた方。理由を伺っても?」
「私たちは元夫婦です!」
女性の方も頷く。1組目は決定かな?
他の2人にも理由が訊ねたが、同じ種族で見た目で選んだらしい。
「じゃあ、遅れた方の4人、同じように相手を選んで。
相手が重複しても良いから」
ここでも、即座に1人が動く。理由を訊ねると、幼馴染みだからだそうだ。因みに、双方獅子獣人だった。
「うーん………ほぼ、僕の中では決まって居るんだけど。
あとは、金額次第かな?」
不自然な程、高くなければ買うつもりだ。まぁ、値引き交渉はするけどね。
「じゃあ、ソコの狼獣人の2人と、獅子獣人の2人の合計4人。
合わせて幾らかな?」
「そうですね………、金貨40枚といったところかと」
「少し安くならないかい?」
「37枚が限度ですかな?」
「もうひと声!」
「………他の奴隷はお買い上げにはなりませんか?」
「うん。少なくとも、ココに居る人は買う気は無いね」
「少々、お待ちいただいても?」
「うん、少しなら構わないよ」
「では、少々お待ち願います」
買う気の無くなった奴隷達は、奴隷商に引かれて下がってゆく。
そして、代わりに連れて来られたのが──
「何、この子?」
そう、明らかに病気で弱っている人間の7歳位の女の子だった。
「この子も引き取っていただけるならば、27枚まで値引きましょう!」
「別に構わないけど、何で?」
「──奴隷法は、ご存知で?」
「いや、詳しくは」
聞くところによると、奴隷を解放しないまま死なせると、金貨10枚の罰金があり、この子の場合、不治の病で、魔法で治すにも、治る保証無しで金貨7枚の代金がかかるそうだ。
そして、取り扱う奴隷を死なせてしまった奴隷商は、酷く評判が落ちるそうだ。しかも罰金付き。
「成程、評判が落ちないだけ、ソチラは得をする訳か。
良いでしょう、金貨27枚、支払いましょう!」
そう言って、28枚の金貨を代金として受皿に載せる。
「お客様、1枚多いようですが………」
「情報料として受け取ってよ。
さて。隷属相手の変更の手法だけど──」
ナナさんは、ああと納得していたが、病の女の子がショック死しないようにする為でもあるんだからね!
メソッドを展開!『隷属化』スタック、✕5、『パーフェクト・ヒーリング』スタック、✕5、実行!
「うあ………え?」
病の女の子が、ハッキリと治ったことが分かったのだろう、驚きの表情を見せ、先程迄は一人で立てないような様子だったのが、自分の意思で一人で立ち上がる。
「奴隷紋の書き換えもしたから、引き取って構わないよね?」
「え………あ、はい………」
流石に、魔法で奴隷紋を書き換えられたのには、奴隷商も度肝を抜かれたらしい。
ともかく、俺は奴隷ながらも戦力を手に入れたのであった。




