第19話
次の宿場町でも、俺は馬車・馬を纏めて異空間送りにした。
宿を取り(珍しくツインで)、夕飯を取ると、部屋に向かって、寛ぐ。
馬の『紫』は、ストレスを感じるかと思ったが、意外に柔順だった。
最早、世界が2026年に壊滅状態になると確信しているため、もう本当に『悪足掻き』しか出来ないのだが。
子供の頃、まだ十分に純情だった俺が、神様に『長生きしたい』と願った気持ちは、まさか乞食として生かされるって意味なの?凍死するじゃん。………あ、凍死すら失敗するのか!
やっぱり、公開処刑が、俺に相応しい死に方だよね?一回、物語の中でとはいえ、生き延びちゃったけど。
ホントは、一人でも良いから、子供を残す方がマシなんだけど。でも、左端になると分かっていて、無責任に子供を遺すなんてことは出来ないけど。
俺とナナさんの間に子供を作る?それで何かが違うのか?
俺のアバターが、現実世界で遺さないと意味無いだろ。ついでに、『遊びの教育』を施さないと。
でも。左端の後継として等、やはり子は残せない!
何故、我が子を犠牲になど出来るのか。
忠告しても無駄に違いあるまい。まず、周囲が許さない。徹底的にイジメ尽くされる。
そんな可哀想な子を遺すなら、独り身で死んだ方がマシだ。
………ん?丙午の、運の逆転現象を利用する?
例えば、乙巳の子供を遺すとか?蠍座で?
もしくは、丙午の10月生まれにするとか?そんなもの、家に放火するに決まっていると思うが。
ヤだよ。子供から嫌われるに決まっている。
そもそも、俺という条件では、望んだ伴侶が得られるとは思えない。
そもそもと言えば、そもそも魔王の存在を予言する方が、よっぽど半可臭い。
本人に言わせれば本気だったんだろうけど、被害者の側から言えば、フザケている!
お前のせいで、俺が熱で寝込んで動けなくなるほど、イジメられて『怒り』を覚えたんじゃねぇか!
「クソッ!」
「ゼロさん?大丈夫ですか?」
思わず声に出て、ナナさんに心配を掛けてしまった。
「ゴメン、放っておいてくれ」
「でも………」
「いいから!」
ヤベ。ちょっと語気が強かった。
「………イライラするのは良くないですよ」
「俺は悪いから放っておいてくれ」
「『悪い』?そう決め付けたのは誰ですか?」
「………俺自身だよ」
そう、思えば、俺が『悪い』と認めた事がある。
それが原因で、けっこうイジメられたけど。
ソコを正さねばならないが、俺では来世に記憶を………って、持ち越せないと思ったのは、俺の思い込みか?
出来ることなら、竜巻のニュースを切っ掛けに記憶が蘇って欲しいが………。
クソッ。寅年生まれのアイツが、今回、初めて2026年までの災禍を見届ける事になると思うが………。
俺の方は、竜巻のニュースを最初に見たのは、かなり歳を経てからだ。
………ゲームが罪だと分かったのに、プロになる気も無いなら、ヘタに打ち込む訳にもいかない。
だが、アソコにだったら、『龍◯巻』がある。
でも、俺は辰で、龍ではない。
だが、真実の断片は記されていた。
悩ましいが、戦争にでもなったら、大惨事だ。
そして、世界戦争の可能性も秘めている。
クソッ!核は2077年まで大丈夫だと思っていたのに!
確かに、あの最期の犠牲者以降の未来は、時間線が途切られているか、はたまたループしているかではあったが。
その犠牲者を救う為の行為は、悍ましいものであったし、俺には無理だ。アバターが代替行為を行う事で救えないか、アプローチはしているが。
恐らくは、無駄なのだろう。
「ハァーッ」
「ゼロさん?」
「あ、『悪い』」
「いえ、そんなことは無いですよ。
ただ………いつも、私が慰めて貰っているので、たまには私が慰めてあげた方が良いのかなぁ、と思いまして………」
その晩。
俺はヒミツの行いに、自己嫌悪するのであった。




