第12話
不快な騒動で失った路銀は、金貨をコピペする事で解決した。
そして次に着いた、やや大き目の町で。
まず、商業ギルドを探した。
「スミマセン、行商の許可を求めに来たのですが」
「ああ、なら、荷を改めさせて貰うが、構わないな?」
「いえ、荷の中に商品は存在しないんですが」
「………?
購入に関しては、許可は必要無いが?」
「いえ、売却の許可が欲しいんです」
「だが、荷には無いんだろう?
それで、どうやって売るつもりだ?」
「問屋に卸そうかと思っていたのですが」
「ハッハッハ、馬鹿を言うな。そんな量は売れぬだろう」
「では、卸しても構わないと?」
「そもそも出来ない事に許可を求められても困るよ」
「よろしいので?」
「出来るものならやってみろ」
「分かりました」
馬車に戻ると、ナナさんがまだ怯えていた。
「次は宿を取りに行ってみるよ」
「あの!」
「あー、分かった。ダブルの部屋を頼んだ方が良さそうだね」
悟られて赤面しているけれど、中々の揺れだったからね。馬車が壊れなくて良かったよ。馬も暴走しなくて。両方、保険は掛けておいたけれど。メソッドが馬の認識まで影響するかは、ちょっと賭けだったからね。
まず宿を取り、ヒミツの行いを済ませる。
それから、風呂場を借りて順番に湯浴みすると、髪を弱風で乾かしてから、鍵を預けて塩問屋から回る。
「スミマセン」
断りの文句を述べてから、目線があったところで会釈をし、話題を切り出す。
「何でしょうか?」
「塩の卸しをしたくて」
「卸し?そんな規模の荷をお持ちで?」
「器でも用意して下されば」
「器?………ちょいと待ってくれ」
何やら試されるのか、持ち上がらない程の器を、斜めにして回して運んで持ってきた。
「コレに一杯で、金貨1枚を支払おう」
「この器、10個ほどありますか?」
「………あるが、何故?」
「そのくらいの量は売りたかったので」
「馬鹿を言え。そんな量は運んでおらんだろう。
さあ、さっさと持ってきた分をこの瓶に詰めてくれ」
「では」
手を瓶の上に差し出して、メソッドを展開。塩は、比較的作りやすいのだ。まぁ、メソッドを完成させてしまった今は、砂糖でも大差は無いが。
手からザーッと落ちてゆく塩に、塩問屋は顔を青くする。
「一杯目はこんなもので」
「馬鹿な、それが全て塩である筈があるまい」
「味見をされてみれば?」
「毒ではあるまいな?」
「味見をし過ぎれば、体調は当然、塩分の摂り過ぎで健康は崩されるかも知れませんが………」
「………全部、塩だと申すか」
「当然」
山盛りになった塩を見て、自信を見せる。
「分かった。
だが、一部でも塩以外が混じっていれば、訴えるぞ?」
「それについては、一点。
味を良くするために、全体的にごく少量、炭酸マグネシウムが混じっていますが、偏る事は滅多にありません。
出来れば、あと9つ、同じ位の器を用意していただければ、コチラにて売り渡したいのですが」
「急にそんなに持ち込まれても困るよ。
塩が値崩れしてしまうではないか」
「では、他で売ってもよろしいと?」
「………ッ!
待っておれ!」
その後、同じサイズの瓶を9つ用意され、塩を詰めると、金貨10枚を受け取れた。
商業ギルドの許可の件を聞き出されたが、事実をそのまま告げると、「儂が出向く故、許可を取って参れ」と、上役の人が付き添いてギルドに出向くと、無事に許可を取れたが、金貨1枚を求められた。
砂糖と酒についてもついでに許可を貰い、各金貨1枚を支払い、そちらの売却は明日に回して、宿に帰ると、金貨1枚でワンランク上の料理を食べて、部屋で眠った。
ナナさんは落ち着いたのか、夜は大人しかった。




