第11話
俺たちは、また目的地の無い旅路に就いた。
馬車を所有しているので、日が落ちる前には次の宿場町には着いていた。
そして、ツインの部屋を借りる。つまり、ベッドは2つだ。
宿代を稼ぐとの言い訳で、塩と砂糖を宿に売ってみるのだが、瓶に一杯で金貨1枚をベースに考えて、余りに無茶な注文をされる場合は断った。
そして、ある時、こんなことを頼まれた。
「塩と砂糖を作れるのなら、酒は作れないか?」
それに対して、俺はこう答えた。
「試してみようか?」
空の瓶を用意して貰い、まず水で満たす。
「おおっ!」
「まだ水だ」
そして、メソッドを展開。糖質を混入させ、発酵させる。
「コレで、出来た筈だが。
一口、味見するぞ」
柄杓で掬って、器に移して口にする。………うん。初めて試した割には、ちゃんとアルコールになっている。度数は低そうだが。
「もっと強い酒は作れないか?」
「試しても良いが、それなりの対価は求めるぞ」
「合計金貨3枚ではどうだ?」
「良いだろう。
但し、瓶をもう一つ用意してくれ」
「はいよ」
今度展開するメソッドは、蒸留のメソッドだ。なので、当然だが、仕上がる量も少ない。
「瓶に一杯は作ってくれないかい?」
「………正直、対価に相当する強さの酒になったと思うんだが」
当然、味見をしてからそう言う。あまり繰り返したくない。酔いそうだ。
そうだ!解毒のメソッドを展開しよう。
「金貨2枚追加するよ!」
そう言われて、メソッドをリピートして強めのアルコールを仕上げていく。
後にして思えば、余計な手間であった。
「毎度~」
店長の怪しげな笑顔が気になったが、とりあえず一宿一飯は確保した。
翌朝。
朝食を食べている時に、その人物は現れた。
「商業ギルドの許可を得ずに塩に砂糖、酒までを売買した輩がいると聞いた!
名乗り出れば、罰金刑で済まそう!
何処のどいつだ?!」
「はあ?行商に許可が必要なのかよ!?」
「ムッ!貴様か!
幾ら売買した!誤魔化そうとしても無駄だぞ!」
「………金貨7枚分だ」
「ソイツは嘘をついているぞ!俺は金貨70枚支払った!」
俺を売ったのは、店長自身だったようだ。
「ならば、罰金、金貨100枚で済ませよう。
支払えるか!?」
「………後悔しても知らんぞ?」
俺は、異空間から金貨100枚を支払ってとりあえず済ませた。
「今後も行うようなら、もっと罰は重くなる。
悪い事は言わん。ギルドの許可を取れ」
「ああ、ご忠告ありがとうよ」
俺は、朝食を再開し、手早く済ませた。金貨一枚支払って、ナナさんにも申し訳無いが、早めに済ませてもらって、宿を出る。代金は前払いしてある。
そして馬車を受け取り、開けた場所に出てから馬車を止めた。
「ナナさん。少々怖がらせる真似をするけど、申し訳無い」
「………?」
準備のメソッドを展開!インスタンス、俺!引数、馬2頭!
「沈静化!」
更に準備のメソッドを展開!インスタンス、俺!引数、馬車!
「浮遊!」
メソッドを展開!インスタンス、俺!引数、大地!
「揺れろ、大地。マグニチュード7!」
揺れが始まった。徐々に揺れは大きくなってゆく。立っていられないだけの揺れになって、街の建物は崩れてゆく。
「ヒイッ!」
ナナさんも怖いようだ。でも、もうすぐ落ち着く。
「10倍返しされたんだ、100倍返し位は覚悟しろよな」
そう捨て台詞を吐いて、俺は町を後にした。




