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DSaC  作者: げど☆はぐ
家出娘と場外乱闘
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第十四話

 港に着いた私は馬車を降りた。

 水路の近くでボートを修理している者や、船の周りで大きな木箱を運ぶ者達、それを荷車に載せて行き交う者達。船を中心とした労働者で港は賑やかだ。

 私は倉庫の一つに入った。積み上げられた木箱が並ぶ中、埃が日の光を受けてキラキラと光っている。倉庫には刑事のすでにオズワルドとその部下五人がいて、私に気付くとオズワルドは帽子を取った。

「ブライトさん。ご連絡ありがとうございます」

「上手く行けば密輸を防ぐ事ができます。手柄が一つ増えますね」

「ありがたいことです。それで、例の犯人は……」

 倉庫にアルベルトとレオン、レイチェルが入って来た。

「どうも」

「刑事のオズワルドです。あなたがえー、その……大根使いという事ですかね?」

「そうです」

「なるほど……」

 お互い見つめ合った。

「あなたが手を下したのはそのドーン兵達だけですね?」

「もちろんです」

「この国の人間に手を出したら私はあなたを必ず逮捕します。それだけは言っておきたくてね」

 ほほー、てっきり彼を見たら萎縮するかと思っていたが。

 後ろの部下達はビビリまくっている。他国の戦争に急遽巻き込まれる形で密輸品を押収する仕事だ。どのように説明を受けても物騒極まりなく、一公務員が駆り出されたら普通はハイそうですか頑張りますとはなかなか言えないだろう。しかしオズワルドはそのような態度は見せない。

 なかなか骨のある男なのか、それともやはり深くは考えない馬鹿なのか。

 アルベルトは頷いた。

「私は私の正義のために戦っています。罪の無い人を殺めるつもりはありません」

 オズワルドは私を見た。私は頷いた。

「まあ、大丈夫だと思いますよ。今の所はね」

 アルベルトは微笑んだ。

「だそうです」

 オズワルドは頷いた。

「ブライトさんもカードを使っているのを教えてくれれば良かったのに。魔法使いが実在するなんて初めて知りましたよ」

「すみません。自分の安全に関わる事ですから」

「ま、今日はよろしくお願いします」

 そう言ってアルベルト、レオンと握手した。オズワルドはポリポリと頭を掻いてレイチェルを見た。

「それでそのう、あなたはどうしても船に乗り込むんですかね?」

「もちろん行くわ」

「うーん。しかしなあ……」

「任せてくださいよ」

 レオンが言った。

「彼女には指一本触れさせやしません。俺が保証します」

 そう言って胸を張った。

「はあ……どうやって?」

「それを見せるとあなた達が今日一日使い物にならなくなっちゃうんでね」

 レオンはウインクした。

「分かってると思いますがレイチェルさん、あなたはドーン兵に危害を加えないでくださいよ。一般人のあなたが他人を傷付けたらもちろん犯罪なんでね」

「ええ」


 私とレオン、レイチェルはレインコートを着て手袋をはめ、バケツに入った大根入りの水をすくってレインコート全体に塗った。目には塗れないのでゴーグルを装着し、ゴーグルに塗った。アルベルトが確認した後、魔法を使った。キン!という音がして、レインコートは刃の鎧になった。

「これで銃で撃たれても平気です。弾丸を斬ってくれますから。ただし、船の中で壁に寄りかかったりしないでくださいね。壁が切れてもし転んだら海まで真っ逆さまですから」

 げ。そうか、床まで切ってしまうのか。いつもの戦闘の癖でついやってしまいそうで少し怖くなった。しかしどんなに強い魔法にも弱点はあるものだ。バランスを崩せばいいのか。普通の地面では靴で踏ん張れば止まるが船ではそうはいかない。

「き、気を付けます」

 アルベルトは懐中時計を見て言った。

「そろそろ行きましょう」

 作戦開始だ。


 倉庫を出て、レオンとレイチェルと共に目的の船に向かって歩いた。

「ねえレオンさん、皆さんは来る時は船で来たんですよね? 確か北大陸とは定期便などは無かったはずですが」

「ああ、それはもちろん向こうの船で来たんですよ。以前からフェルトの人間が何人かこの国に来ているので入国にはさほど手間はかかりませんでした。帰りはこちらの蒸気船を手配してもらう予定です。速度が段違いなんでね」

「なるほど」

「ドーンの奴等も同じように蒸気船を押さえたようです。あれですよ」

 そう言ってレオンは船を指差した。中型の蒸気船だ。帆船の中央に大きな車輪が付いていて、蒸気を使って回転させる事によって風だけよりも速く進む事ができる。五十人程が乗る規模の船だ。乗組員が十五人程だとして、三十人くらいはドーン人が乗ると考えていいだろう。

「金払いが良ければこの国にも彼等を乗せる人間もいるんでしょう。まっ仕方無いですね」


 ちょうど昼に入ったあたりで船の前に来た。皆休憩時間中で、積み荷を運び込んでいる人の姿は無かった。レイチェルが口を開いた。

「思ったんだけど」

「何でしょう」

「出発は明日な訳でしょ。今乗り込んでもドーン人が船に全員いるとは限らないんじゃないの?」

「あ、そうだよ! 拠点にいないからって船にいるとは限らないじゃん!」

 私は頷いた。

「それはそうですね。何人かは近くの酒場や宿にいるでしょう」

「分かってたの?」

「はい。でも船に何人かいれば拘束しておいた方が戦力を減らせますし、もし船にジョンがいればそれでいい訳ですから」

「あ、そうね」

「燃料を先に断っておけば最悪出航されたとしても、風だけで進む事になる。それなら他の蒸気船ですぐ追いつく事ができますし撃沈も簡単です。ですから船を先に押さえてからドーン人が集まって来るのを待っていれば後は制圧するだけです」

「なるほど」

「でもけっこう大きな船です。準備が出来次第出航する予定ならば、既に全員乗り込んでいる可能性もありますから油断しないでください」

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