第9話 (悪習)定例イベント後のその後
ある時役員の1人と会話する機会があった。
「先日、いえ毎年現場では過労死や過労自殺がありますがこれを会社として対策すると言うことはしないのでしょうか。」
「しない。」
役員はきっぱりと答えた。
「それはなぜですか。採用活動だって毎年苦労していると聞いています。
イメージをよくすれば採用活動の負担も軽くなる。
そもそも自殺までいかないレベルでも多くの人が退職していると思います。
そういう死をなくすことは結果として会社の業績アップになるはずです。」
「そんなの理想論や。絶対無理。
うちの会社だけやない、他の会社でもみんな死んどる。
業界全体の病気や。
それにはそんな対策なんてしたらお金がいくらあっても足りへん。」
「遺族から訴えられたら数億円払うことになるのですからそっちの方が負担でしょう。」
「その認識が間違っとる。
訴える遺族の方が少ないんや。
ほとんどの遺族は訴えない。
そんな精神状態じゃないからな。裁判ってめっちゃ労力使うねん。
葬式もして荷物の整理もしてとなると裁判する余裕なんてないよ。
これが既婚者で子持ちとかになると今後の生活もあって訴えるという輩がおるがな。
独身の若いやつが死んだんならそれでしまいなんや。
会社としたら効果があるかもわからんことに金を使うよりはこのままいって毎年誰かが死んでその遺族が泣き寝入りしてくれる方がお金はかからんよ。
たまに訴えるやつがおるけどそれでもその金を払っても対策費用よりも安く済むのが現状や。」
「採用はどうなるんですか。
このまま悪評が広がれば有望な人どころか誰も来ませんよ。」
「それも大丈夫や。
世の中どうしようもないやつっておるんや。
そういうやつは君が思っているよりも多い。
今の日本のビルはそういう人たちが作っているんやで、今さら対策しようなんて手遅れや。」
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