第4話 一生懸命仕事したのに。
私は情報チームに所属しているが大きな括りでは管理部配下の1チームという立ち位置だ。
他には人事チームがあり彼らは採用活動、給与計算など多岐にわたる作業を行っている。
このチームの特徴はほとんどが女性で構成されており男性の数が少ない点である。
ある日役員が出張すると言うことで宿泊するホテルを予約するようにある女性事務員(田中さん)に指示が下った。
朝一から取り掛かったその業務。
ホテルの予約サイトを見て、住所を確認してとやっていた。
どうしてわかるのかと言われたら田中さんが操作の内容を雑談しながら声に出しているからである。
そんな田中さんの声を聴きながら私は自分の作業をしていた。
「やっーとおわったー。さぁーて帰ろっと。」
田中さんが役員の出張時のホテルの予約を終えたようだ。
時刻は定時を少し過ぎていた。
田中さんはやり切った顔で帰る準備をしている。
「ちょっと待って田中さん、今日それしか仕事してないよね。」
呼び止めたのは男性事務員(三枝さん)だった。
田中さんは何を言われているのかわからず首を傾げている。
まだ20代前半。新卒で会社に入ってまだ数年しか経っていない。
そんな仕草も連日残業まみれの三枝さんには効かなかった。
「それって朝一で言われた仕事で今までかかっていたの?
他の仕事はどうなっているの?」
「え?私の仕事はホテルの予約だけですよ。」
「それは違うよね。ホテルの予約は臨時で言われた仕事であっていつもやっている仕事はあるよね。」
田中さんは自分の机を見てまだ整理されていない書類を見つけた。
そして泣きそうな顔になった。
「どうして・・・どうしてこんなに忙しいんですか。
私一生懸命ホテルを探しました。
役員さんが快適に泊まれるようにって旅行サイトとか何個も見て、レビューも読んで。
ブログとかも確認して役員さんのことを思って仕事していたんです。
それなのに・・・他の仕事もしろって言うんですか。」
「田中さんがかわいそうですよ。
そんなこと言うなら男性が仕事しなさいよ。
女性ばかりに負担をかけるな!」
とお局社員が三枝さんに吠えた。
「いや、だって田中さんの担当の仕事だから彼女がやるべきでしょう。
今日やらなくても明日やるとか対応の方法はあると思います。」
「あなたが気が付いたんなら今あなたがやりなさいよ。
それで明日朝に田中さんにやっておいたよって渡してあげれば解決するじゃないの?
男でしょ?それくらいやりなさいよ。」
お局の圧力に押されている間に
「お先に失礼しまーす」
と言って田中さんは帰ってしまった。
そしてお局に負けた三枝さんが田中さんの仕事をやる羽目になった。
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