第16話 システム開発編 システムメンバーから外れる
打ち合わせから数日後正式に契約が締結された。
それに合わせて情報部門所属だった私(大津)は副部長のチームに異動となった。
それからシステム開発が始まった。
とは言ってもこちらからは開発に必要な業務データの提供や資料の提供だけだった。
それでも社内を探してみるとあると思っていた資料がなかったり業務フローが昔と変わっていたりと想定外なことが多発した。
システム会社との打ち合わせでは以下のようなやり取りがあった。
「システム開発費用何ですが、当初の4倍ほどかかる見通しなりました。」
「いやいや、4倍っておかしいでしょ。最初の数回の打ち合わせの後に2倍になりますって言った時ももめましたがそれから3倍になって今日で4倍ですか、何回も言っていますが算出根拠を教えてください。」
「コストの算出根拠は社外秘資料に該当するため提示はできません。
私を信頼してくれていないんですか。」
「信頼も何もベースとなるシステムがあってそれを改修、一部機能追加することで実現するって説明されていましたよね。
それなのに4倍の費用がかかるのはおかしいですよ。
最初に提示した見積もりが甘かったということではないんですか。」
「私たちは一生懸命仕事をしています。
今この場には営業の私しかいませんが事務所には御社のシステムを開発するために多くのメンバーが一生懸命働いています。
それなのにそういうことをおっしゃるのは失礼ですよね。」
「失礼も何もコストが増大するとなるとそもそもの費用対効果も低くなります。
それならばもうシステム開発は止めようって判断になってしまうかもしれない。
当初の金額だったからこそシステム開発のGOサインが出たのです。
今4倍の金額を提示されたらGOサインは難しいのではないですか。」
「なんですか、コストコストコストってこれは副部長様は長年のアイディアを形にするためのシステムです。
副部長様が会社のみなさんを不憫に思い自ら発起人となってシステム開発をしようとしているのです。
それを費用対効果などという言葉で否定しようとしている。」
「ですから費用対効果が大事なんですよ。
これくらいのコストをかけました。
結果利用者1人あたりどれくらい業務負担が軽くなりましたか、
それをコストに変換するといくらになりますかと言う話です。
なのでいくらかけて作るかと言うのが大事なのです。」
「信じられない。
コストが合わなかったら従業員の方は不利益を被ったままでいいということですか。
不便を強いてストレスがある状態を放置するのが適切なんですか。」
営業マンはそう言うと副部長の方を向いて。
「副部長様、2人っきりで話しましょう。
この人がいたらシステム開発はとん挫してしまいます。
私の経験上このように口先だけの人がメンバーにいると順調にいくものも行かないのです。」
副部長はしばらく沈黙した後
「そうだな。我々だけで話しましょう。」
そう言って私と業務の利用者であるチームのメンバーは退席となった。
打ち合わせが終わり副部長が戻ってきた。
開口一番に
「大津、君をシステム開発メンバーから外す。
船頭多く船山に登る。
専門家はシステム会社の方だけで充分だ。
君がこのシステム開発に口をはさむのは一切禁止とする。」
こうして私は異動してきたにも関わらずシステム開発プロジェクトから外れることになった。
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