第八鋼
ワルイドの目的がわからない。
そんなのは当然で、怪人を作る理由なんて本人しか知らないだろう。
どうして軍の連中は俺が答えを知ってる前提で尋問してくるのだろう。
そういう情報を探るのが捜索部隊の役割ではなかろうか。
どこまで調査を進めているのか質問しても軍事機密だとはぐらかされる。
たしか俺も軍の一員のはずだが、情報は共有されないらしい。
目的がわからないのはこいつらも同じだ。
自分なりに情報を集めようと資料室を訪れてみても、
ワルイドに関する項目はほとんど処分されたか黒塗りで、
得られるものは何も無かった。
こんな状態で正体不明の相手を探し出せとか、無理ゲーにも程がある。
それはさておき、俺たちが戦闘する度にビルが消し飛ぶ件で朗報がある。
世間の方々は、それが怪人による破壊行為だと錯覚してくれたのだ。
これからは地元の警察だけでなく、自衛隊の動員も検討されるそうだ。
後のことは彼らに任せ、鋼音ちゃんを戦いの日々から解放させられる。
今回の怪人もクリーチャータイプだった。
そして、尻から白い糸を吐き出す“蜘蛛型”の完成形のようだ。
丸々としたボディーに8本脚、顔だけは人間の面影があるが、目が沢山ある。
変異させられた彼には悪いが、心置きなくぶっ飛ばせるモンスターだ。
そこかしこに巣が張られており、美女ばかりが捕らえられている。
この後どうしたかったのかは知らないが、いやらしい目的なのは間違いない。
「鋼音ちゃん、焼却処分だ!」
「うん、わかってる!」
俺は断熱の魔法で人質を保護、鋼音ちゃんはエネルギーの圧縮。
その戦い方しかないが、他の方法を考える必要が無いので楽だ。
「──フロ・モーニエ!!」
64000度の熱光線が怪人を襲い、跡形も無く消え去った。
案の定ビル群が整地され、清々しくもある。
東京は人口が密集しすぎだし、これくらいの開放感があった方がスッキリする。
俺たちは仕事の仕上がりに満足し、軽やかな足取りで帰路に就いた。




