第二鋼
月曜日の昼、渋谷に怪人が出現した。
それは察知していたが、鋼音ちゃんは小学生なので
ちょうど給食を食べている時間で出動できなかった。
ちなみに今日はわかめご飯だったらしい。羨ましい。
警察の方々が速やかに対処してくれたので問題無いが、
今後を考えると少々厄介だ。
今まで怪人は日曜日に出現していたのに、
それが一日ずれるだけでこちらは不利になる。
鋼音ちゃんが通う小学校は都内にあるので
授業を抜け出して急いで駆け付ければ間に合うだろうが、
それが毎週となるといずれ問題が生じるだろう。
戦士としての使命も大事だが、個人的には学業を優先させたい。
そして土曜日、俺たちは新宿を散策していた。
どうせ一日ずれるならこっちにずれてほしい。
ちなみに新宿、渋谷、原宿は怪人の出現数が特に多い3箇所だ。
人々の悲鳴が聞こえて俺は安心した。
それは怪人が出現した合図だと悟り、
月曜日へのずれ込みが確定したわけではないという証明だった。
今回の怪人も大したことはなさそうで、
ただ悪臭を撒き散らすだけのワキガデブだった。
そういう怪人に変異させられたのではなく、
この体臭は元からこうなのだろう。
「鋼音ちゃん!
被害が広がる前に焼却処分するんだ!」
「うん!わかった!」
俺が渡した妖精エネルギーを圧縮し、形を整えてゆく。
まだ二回目だというのに、どうやらコツを掴んだようだ。
この子は魔法少女になる運命だったのだろうか。
とにかく彼女は天才だと思った。
「──イングウェイ・マルムスティーン!!」
8000度の熱光線が怪人を襲い、跡形も無く消え去った。
無慈悲に思えるかもしれないが、
一度怪人に変異した者はもう人間に戻ることはできない。
長引けばそれだけ苦しみが続くことになる。
彼らのためにも速やかに処理した方がいいとされている。
とりあえず今日も無事に勝てた。
鋼音ちゃんは町を救えたことが嬉しいようだった。
俺はそんな彼女を褒めちぎり、明るいうちに帰路に就かせた。




