1-76『破邪の剣』と『銀鈴鬼』
申し訳ありません。
激しく『眠い』ので、もう手動投稿しちゃいます。
御感想いただけたら、幸いです(^▽^)
「甘いよ、父さん」
『クロワシ』が『立ちん坊』の武良に突っ込む様子を見て、東郷はポツリとつぶやく。
「そうね。東郷父上は、武良様の『あからさまな誘い』に、誘い込まれてしまったはね」
光子も、残念そうな表情になる。
「そうだな。東郷父上の攻撃を、かわしにかわしての、ポッカリ開けた『隙』だからな。優れた戦士ほど、つい反応してしまう」
開祖シンは、重々しくつぶやく。
◯ ◯ ◯
グンッ!!と、『クロワシ』の切っ先が、武良に迫る。
腹から上半身と下半身に、真っ二つにされそうだ。
すっ、と武良は、右拳を引き『正拳突き』の構えを取る。
ぞくり
東郷父の背筋に、悪寒が走る。
東郷父の左手が、無意識に脱出レバーに伸びる。
『クロワシ』の切っ先が、ちょうど武良の間合いに届く。
武良は、右拳を繰り出す。
ぞくぞくぞく
東條父の悪寒は、最大限に強く成る。
東條父は、ためらいなく脱出レバーを、引く。
ドンッ
『クロワシ』は蒼い炎を吹き上げて、巨大な大剣の様な機体は、木っ端微塵に吹き飛ぶ。
「なっ」
「えっ」
黒い強化服達は、想定外な光景に、某然とたちすくむ。
「正拳一発で、『クロワシ』を粉砕……あれが、『真の勇者』と言う絶対強者と言う存在なのか……」
真の勇者にとって『正拳一発』など、余裕の一撃に過ぎないだろう。
ぶるっ
アメリア司令は、どう足掻いても『かなわない絶対強者』が、目の前に存在した現実に、心臓をわしづかみにされた様な『恐怖』を全身に覚え、不覚にも胴震いが起きてしまう。
「おぉ!東郷様だ!!」
「東郷様が、勇者の前に立つぞ!!」
はっ
しばし放心して居たアメリア司令は、周りからの東郷への歓喜に、じぶんを取り戻す。
「東郷様こそ!『真の勇者』だ!!」
誰かが叫ぶ。
「「「「そうだ!!」」」」
皆同調する。
そうだな、東郷。御前はいつも、前を向く。巨大魔族を、かろうじて倒した時だって、御前だけがあきらめなかった。そして遂には巨大魔族を倒した。
まぁ巨大魔族も、限界だったが。
だがな、東郷。現在御前の目の前に居る笹木武良は、正真正銘の『真の勇者』だ。
倒すのは、心底無理だ。
おい東郷。御前は『クロワシ』を一撃した、正拳突きを『真正面』から見たろう。
だから
「東郷!引け!!我らの負けだ!!!」
思わず口に出して居た。
周りの兵卒は、弾かれた様に私を見る。
しかし、誰も異論を唱えない。
『意義あり』
急に、共通無線バンドに、初めて聞く男性の声が響く。
『これから我々は、尋常な果たし合いに入る。邪魔をするな』
「……もしや、勇者様でしょうか」
『……アメリア司令殿ですな。東郷殿は、まだ諦めて居られぬ。私は尋常な勝負にて、東郷殿の心を圧し折ろう。見届けていただきたい』
「……承った」
シャキン
東郷は自分の愛刀を、滑らかな刃音と共に、抜刀する。
シャキン!
キ〜〜ン!!
武良は、愛刀『銀鈴鬼』を、鈴の音の様な和音の刃音と共に、抜刀する。
そして武良は東郷に対し、剣術の『正眼の構え』を取る。
「え!?」
「なんで?」
「おいおい。見事な『正眼の構え』じゃないか!!」
ここに派遣されて来た者は、剣術や拳術の有段者ばかりだ。
敵対者の力量など、一目で看破出来る。
黒色強化服達は『異世界から来た勇者』の、凄まじい力量を感じさせる『正眼の構え』に、ざわつく。
そして武良が構える『銀鈴鬼』の刃文は、日を受けた銀の鈴の様に輝く。
その鈴の音の様な刃音は、教会公園すみずみまで響き渡る。
「……アメリア司令。勇者様は確かに『凄まじい剣術使い』ですな。また、その愛刀は、かなり強い『破邪』の力を有してますな」
副司令のアライも師範代クラスだ、剣術の力量を見間違えない
「ふむ。勇者様も『日本』から来たと言う事か?それより東郷の『破邪の剣』は、どこまで勇者様に通じるのか……」
勇者が、東郷に劣らない剣術使いと分かったが、今はもう東郷が、ただ無事に勝負が終われば良いと思う。
◯ ◯ ◯
ブン
ジャッ、キーン!!
東郷は、破邪の剣を鋭く振る。
三日月形の紅い破邪の光が、武良に飛ぶ。
武良は『銀鈴鬼』の峰で、手首の返しだけで、あっさり弾く。
ずい
武良は、動いたと思わせず、一足で東郷の間合いに入る。
「うまい」
副司令アライは、武良の動きに、つい賛美をつぶやいてしまう。
ガッ、シャーン!!
大きなガラスが割れた様な音が、公園に響き渡る。
東郷の『破邪の剣』の紅い光と、武良の『銀鈴鬼』の青白い光がぶつかり合い、光が弾ける。
ガシャン!ガシャン!!ドシャン!!!
凄まじい魔力をまとう『名刀』どうしが、真っ向からぶつかり合う。
凄まじい衝撃波が、ぶつかり合うごとに弾ける。
もう、誰も割って入り込め無い。
ドシャン!
武良は、真円流で『雷』と呼ぶ、面ーコテー面の連続打ちを繰り出す。
バコンッ!!
東郷は、その見事な連続技に翻弄され、刀で受け損なう。
『銀鈴鬼』の切っ先が、三発目の面打ちで、東郷の瑠璃色のヘルメットに入る。
バキッ!!
瑠璃色ヘルメットの一部が割れ飛ぶ!
東郷の右頭部がむき出しに成り、彼の黒髪が見える。
「!今のは!」東郷は、右頭部に受けた技に、驚く。
「今の技は!」アメリア司令も、今見た技に、驚く。
「「「「今の技は、雷だよな!?」」」」
黒色強化服達は、剣術道場で散々練習した技を繰り出した、勇者様に驚く
「勇者様が、真円流の技を!?」
副司令アライは、疑問をつぶやく。
「きぇい!」
東郷は裂帛の気合を発し、流星と言う、連続の突き技を繰り出す。
強化服の加速度を利用して居るので、連発度はマシンガン並だ!
「はっ!」
ドガガガガガガガガガガガガガガガガ!!
武良も、同じ速度で連続の突き技を繰り出し、東郷の突きを、ことごとくはじく。
「……おい。東郷様の『流星』を……」
「あぁ、勇者様は……同じ『流星』で、受けた!」
「……って事は、勇者様は真円流なのか?」
◯ ◯ ◯
「開祖シン様。武良様は、もしや」東郷は、開祖シンを見る。
「そう。真円流『十一代目』惣領だ。また、私は『八代目』惣領だ。東郷三郎は、私の代の『師範代』の一人だよ」
開祖シンは映像を眺めながら、さらりと答える。
思わず東郷と光子は、背筋を伸ばす。
「「失礼致しました!」」
思わぬ『同門の大先輩』と判明し、東郷と光子の気持ちが、引き締まる。
道理で東郷父の凄まじい技が、ことごとく武良様に『いなされる』訳だ。
「では。そろそろ決着を付けられますか……」
東郷は、ほろ苦い表情で、格上相手との父の善戦を見る。
「そうだな。東郷父上殿の強化服も、そろそろ限界が近い」
◯ ◯ ◯
ピピー、ピピー、ピピー。
東郷父の、瑠璃色強化服のマスクの下のHUディスプレイでは、強化服各所の限界値が近い警報音が、鳴りっ放しだ。
しかし主導権は、勇者に握られっ放しだ。
これは、真円流奥義を繰り出さねば、ジリ貧で負ける。
ちらりと、照美と息子の笑顔の映像が、脳裏を走る。
哲生、照美と里を頼むぞ。
「魔力全開!!」
ピキュルーン!!
東郷父が構える『破邪の剣』の、紅い光が強く輝く。
御読みいただき、誠にありがとうございます
次回投稿は7月24日の予定です。




