1-74ブラックアウト
「ウロボロスの輪か……ガマンくらべだね」
開祖シンは、眉をひそめる。
「はい。しかし……」東郷は、渋い表情に成る。
「実は、東郷の母上も、搭乗して居るのです。飛行中のナビと火器管制として」
田畑光子は、東郷の懸念を解説する。
「え!……高Gに入って結構経過したぞ!強化服を着ているとは言え、何Gまで耐えられるんだい!?」開祖シンは、懸念を問う。
「多分8Gまでなら母も、ブラックアウトせず、活動出来ると思います。が、ここまでの長時間の高G空中戦は、父も母も機体も、経験が無いと思います。搭乗者か、機体か、どちらが先に参るのか……」
東郷は、懸念を示す。
「武良!相手のバイタルは、チェック出来るか?」開祖シンは、問う。
『変身ベルト修理で、OS解析済みなので、出来ます。現在は……あぁ、ナビの女性の血圧低下中。程なくブラックアウトに入りますね』
「どうする?」
『ウロボロスを解きます!』
ヒュ!
武良モビル・アーマーは急にウロボロスの輪から消え、瑠璃色強化服からほど近い所に出現する。
◯ ◯ ◯
「!?そうか『転送』が使えるんだから、短距離自己転送か!!」
ハリーは思い付きを叫ぶ。
「……『転送』も、戦術に組み込むのか、お手上げだ」
マイクも、脱力気味の声でつぶやく。
◯ ◯ ◯
瑠璃色強化服の東郷父は一瞬、武良モビルアーマーを見失う。
ヴォン!
すぐさま機体あちこちのバーニアをふかし、武良に機種を向ける。
『!ナビ女性、ブラックアウト!!』
残念ながら、今の姿勢制御の高Gで、東郷母はブラックアウトにおちいった様子だ。
「隼。ナビ側ハッキング」
「ハック完了!」
「相手に安定姿勢を取らせるから、安定したら、ナビ側脱出装置作動」
「了解……いつでも!」
ヴィユン!!
武良モビルアーマーは、素早く距離を取る。
ドンッ!!
瑠璃色強化服の機体は、追って来る。
「射出!!」
ドヒュン!!
瑠璃色強化服の機体が、直進姿勢に入った所で、ナビ側脱出装置を作動させる。
ギュオン!ギュオン!!
瑠璃色強化服の東條父は、突然のナビ側射出に、うろたえた様に機体をふらつかせる。
「じゃぁ、タム。頼んだぞ」
『了解!!』
見れば『天使の翼』を広げた、バトル・アーマーの三体が、落下傘で降下して行く東條母をかこみ、補足する。
そのまま『とある場所』に、東條母を連れて行く。
東郷父は一瞬、機首を四人に向けるが、ナビ側女性も巻き込む事態に気付き、四人の周りを旋回する。
バサッ
天使の翼を羽ばたかせ、四人は『とある場所』に降りる。
東郷母を抱えて居たヤバは、降りた場所に、彼女をそっと下ろす。
バサバサッ
タムとヤバとカムランは、すぐさま天高く飛び去る。
バタバタバタ
すぐに強化服姿の数名が、横たわる東郷母に駆け寄る。
そう。ここは瑠璃色強化服の飛行形態が飛び立った、強化服側の補給班のど真ん中だった。
『テル!おぃ!!』
『ドクター!こっちだ!!』
一人が女性強化服のベルトに、コードを接続する。
ツピー、ピピピピ。
『東郷!!照美は無事だ!!ブラックアウトしてるだけだ!!』ドクターと呼ばれた強化服の男は、叫ぶ。
『了解!!』東郷父は、瑠璃色のマスクの下で、安堵の表情になる。
が、すぐに表情を引き締める。
『……舐められてるな』
武良モビルアーマーは、ゆっくりと降下して行く。
いつもの芝生広場のど真中まで降りると、モビルアーマーは脱着され、転送されて消えて行く。
武良は広場に、銀色のバトル・アーマー姿で、ポツンとたたずむ。
『『正々堂々と戦え』てか。甘いな』
東郷父は、、瑠璃色のマスクの下で、表情を引き締める。
『これで、終わらせる!!』
瑠璃色の機体機首を、まっすぐ武良に向ける。
ドンッ!!
機体のアフターバーナーを全開にし、巨大魔族の斧の様な機首を、武良に突っ込む!!!
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次回更新は、7月10日(日)の予定です。




