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1-71.高速移動体



「「……なによ?これ……」」


ライガとサイガは、目の前に繰り広げられる初体験の高速機動戦に、自分達の聖句詠唱のスピードでは『攻撃魔法』の照準が、高速移動体に付けられ無い事実に思い知らされて、茫然自失(ぼうぜんじしつ)に陥る。


しかし、これだけは分かる。


武良様は次々と飛んで来る高速の銃弾を、軽々と受け流しながら、ちゃんと瑠璃色の高速移動体の動きに合わせて、高速移動体に正対して居る。


一瞬も止まらない高速移動体としては、後方支援の味方の高速弾丸が次々と撃ち込まれる事で武良様の態勢が崩れ、隙が見えた所を攻撃するつもりなのだろうが。


自分の動きに合わせられる武良様の間合に入り、うかつに攻撃すれば、激しい反撃(カウンター)を武良様から返されるだろう。


ふと、絶え間なく撃ち込まれて居た狙撃が、止まる。


「バトル・アーマー起動!」武良様が叫ぶ。


シャキーン!


武良様は、一瞬で銀色の全身甲冑に包まれる。


「「やだ、カッコいい♪」」


ライガとサイガは思わずハモり、苦笑しながら一瞬、互いに視線を交わす。


「「え!?」」


その一瞬で、銀色甲冑の武良様は、居た場所から消えて居た。


ズッ、グァン!!


視界やや右手から、かなり重い金属同士が、高速でぶつかり合う音が、広場に響く。


慌てて視線をやや右手に振ると、タランチュラ系の巨大な機械蜘蛛の頭部に当る部位の上に、仁王像の様な上半身が生えた様に載っかった瑠璃色の巨大な強化服が、タタラを踏む様に動きを止めて居た。


どうやらその体制から想像すると、比べて普通の人族の大きさの武良様の銀色甲冑が、飛び上がって瑠璃色強化服の顔面を殴った様だ。


ガシャン!ドシャン!!


瑠璃色の巨大強化服は、殴られた方向に一回転して、飛ばされる。


ドンッ!!


しかし、素早く立ち上がり、瑠璃色の残像を残し、消える。


「ふん、こちらの重さが足りないか。マンモス・スーツ起動!!」


ジャギ!ジャキ!!ジャキ!!!


銀色甲冑の上に、更に大きな銀色甲冑のパーツが、重ねて装着されて行く。


高さは、およそ3メートル位。


両腕は、触れれば(そく)破壊されそうに禍々(まがまが)しく太く、長い。


下半身は、カモシカの様な形態で、敏捷そうだ。


元の銀色甲冑は、ややかがむ体制で、上半身に収まっている様だ。


ドンッ!


巨大な銀色甲冑も、衝撃波の音を立て、銀色の残像を残して消える。


ブワッ!


「「きゃぁ!」」


突風が舞い上がり、神官制服の裾が太腿なかばまでまくれ上がり、二人のスラリと伸びた綺麗な脚を、拝める。


「「きゃぁ!いやぁ!!」」


真っ赤な顔で恥らう二人は、動きをシンクロさせながら、慌てて裾を下げる。


ライガと、サイガ。


ライガとサイガの脳内に、武良の念話が響く。


「「はい!!え?、ど、どうやって念話を!?」」


ワードマンさん経由だよ。それより、カウント『5、4、3、2、1、爆破!』での爆破魔法を、この地点で出来るかな?


二人の視界の先の、先程まで武良様が立って居た地点が、バッテン・マークに光る。


「「出来ます!」」


そうだな。バッテンから垂直方向、三スタッドまで破壊出来る様に、かけてくれ。


「「了解しました!」」


ライガとサイガは、爆破魔法の詠唱を開始しながら、バッテン・マークに集中する。


「「詠唱完了!爆破、いつでもどうぞ!!」」

念話なので叫ぶ必要が無いのだか、戦闘中の興奮からか、ハモりながら大声で叫ぶ。


よし……じゃぁ……カウント開始する。


ズシャン!!


金属同士が、激突し合う音が響く。


5、4、


ズシン!ドシャン!!


3、2、


ドゴンッ!


1、爆破!!

「「爆破!!」」


ドドドンッ!!!


バッテンから上空に、火柱が噴き上がる!!


ドグワッンッ!!!


爆炎は、見事に機械蜘蛛の土手っ腹を、真下からブチ抜いた!!



◯ ◯ ◯



「……親父」東郷は、心配そうに眉をひそめ、思わずつぶやく。


「……あんな所に、あんな罠を仕掛けて置くなんて!」

田畑光子は、違う意味で、武良に驚く。



◯ ◯ ◯



「あの罠は、たった今、そこの双子神官に命じたな」マイクが断言する。


「あぁ。武良様は『人使いが上手い』な」ハリーも感心した様に、マイクに同意する。


「へぇ。『人使いが荒い』んじゃないのか?」ラルフは、まぜっかえす。


「荒いだけだったら、使われた方の『全力』は、出ないと思うわよ。武良様は『手駒の方から進んで、全力で働く気にさせる』のが上手いのよ」

キャシーはつぶやく。


「……どこの『王様』の話を、して居るんだ?」ラルフはまた、まぜっかえす。


武良(王の中の王)様の話よ」キャシーは、真顔で返答する。


「……御前(キャシー)も、武良様に心服してるじゃ無いか」ラルフは、呆れる。


「悪い?」キャシーは旨を張り(たゆん♪)微笑む。


「別に。なら俺達も、武良様を援護した方が良くないか?。東郷の親父は、ますます本気を出すぜ」


「「いいや」」マイクとハリーの、否定がかさなる。


マイクは顔を見合わせたハリーに、話し手を譲るそぶりをする。


「また俺かよ。ふん。つまり武良様は俺達の里を、丸ごと手駒として欲しいんだ」


「……?、それが俺達を、出さない理由なのか?」


「そうだ。あそこには、東郷の親父だけでは無く、俺らの肉親や一族郎党が来てるだろう。もちろん俺らは『肉親』との戦いも、『覚悟』して居る。が、武良様が里を掌握後、『俺ら』と戦った一族郎党との確執は、残るだろう。そうなれば、今後の作戦行動の幅が狭まる。武良様はそれを嫌って、『俺ら』を前線に出さないのさ」


「……めんどくさい」ラルフは、複雑な表情になる。


「……武良様は『人使いの心理』に、ずいぶん手慣れて居られる様だ」マイクは、つぶやく。


「……武良様は元の世界でも、丁々発止(ちょうちょうはっし)してたってことだな」ハリーも頷き、断定する。

御読み頂き、ありがとうございます。


次回投稿は6月19日を、予定しております。

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